« スルガ銀行vs日本IBM事件の判決内容 | TOP | 「ケイコとマナブ」事件(東京地裁平成16年3月30日) »

2012年12月22日

2ちゃんねる覚醒剤広告放置事件

 2012年12月20日、インターネット掲示板「2ちゃんねる」に、覚醒剤の広告が投稿されていた事件で、2ちゃんねるの元管理人が麻薬特例法違反(あおり、唆し)ほう助の疑いで書類送検されたと報じられた。その容疑は、2ちゃんねる掲示板が覚醒剤販売に利用されていると知りながら、2011年5月、50代の無職の男が売買を持ちかけた投稿を削除しなかったこととされている。
 本件は、麻薬特例法第9条に基づくものと思われるが、その実行行為は、煽り(あおり)や教唆(唆した)という行為(作為)とされており、不作為により、そのような行為を行なったと法的に同視し得るのか、いわゆる不真正不作為犯の問題となる。
 本件事案が可罰的と考えうるかどうかは、事案の詳細を検討してみないとわからないが、処罰範囲が過度に広がる危険性があり、かなり慎重な対応が必要であると思われる。


<参照条文>

●麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年3月17日法律第14号)

第29条の2(広告)
 麻薬に関する広告は、何人も、医事若しくは薬事又は自然科学に関する記事を掲載する医薬関係者等(医薬関係者又は自然科学に関する研究に従事する者をいう。以下この条において同じ。)向けの新聞又は雑誌により行う場合その他主として医薬関係者等を対象として行う場合のほか、行つてはならない。


●国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成3年10月5日法律第94号)

第9条(あおり又は唆し)
 薬物犯罪(前条及びこの条の罪を除く。)、第6条の罪若しくは第7条の罪を実行すること又は規制薬物を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。