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2006年07月31日
 ■ 「改正消費者契約法の解説」 内閣府国民生活局消費者団体訴訟制度検討室

 平成12年に制定された消費者契約法について、消費者全体の利益擁護を目的として、直接の被害者ではない第三者である適格消費者団体に差止請求権を付与するという我が国初の消費者団体訴訟制度についての解説がなされている。差止の対象となる事業者の行為としては、本法上の不当な勧誘行為および不当な契約条項を含む消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をすることとされている。2007年6月施行予定である。
(NBL837号15頁)

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2006年07月28日
 ■ 空港案内図に関する著作権侵害が争われた事件

 「実際に存在する建築物の構造を描写の対象とする間取り図、案内図等の図面等であっても、採り上げる情報の選択や具体的な表現方法に作成者の個性が表れており、この点において作成者の思想又は感情が創作的に表現されている場合には、著作物に該当するということができる」という一般論を展開した上で、「創作的表現における特徴を感得し得るということはできない」として著作権侵害を否定したものである。
(判例タイムズ1210号258頁)

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2006年07月26日
 ■ 「融資判断における銀行取締役の責任 ー公知地判平17.6.10を中心にー」 藤原俊雄教授

 銀行の株主が土佐闘犬センターに対するつなぎ融資を行った取締役7名に対し、株主代表訴訟を行った事案につき解説がなされている。その中で、RCC事案については、?破綻金融機関の事例であること、?請求金額を限定しているものが多いこと、?被告人数も限定されていること、?証拠が十分に存し、融資案件の選定について十分な検討がなされ、しかも問題に精通している弁護士が訴訟を遂行していることなどから、取締役の責任が認められやすいと分析されている。
(金融法務事情1775号34頁)

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2006年07月20日
 ■ ヤフー・オークションにおいて、運営会社の責任が否定された事件

 「本件オークションは、出品者と落札者との自由意思による売買契約を中核とするものであり、被告はその機会を提供するに過ぎず、かつ、利用者に対して本件オークションを利用した売買契約に伴うリスクについて、格別の注意を促しているのだるから、本件利用規約をもって、被告が有利な立場を利用して、一方的に責任を限定したものとはいえず、本件利用規約のうち被告の責任を限定した部分が、公序良俗に反し又は権利濫用で無効であるとの原告の主張は採用できない。」「本件オークションの利用状況に照らすと、この程度の料金徴収で、すべての利用者の信用状況を調査することは不可能であることは明白である。」と判示した。
(判例時報1929号81頁)

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2006年07月10日
 ■ 「費消済みインクタンクにインクを再充填する行為と特許権侵害の成否(上) ーインクカートリッジ知財高裁大合議判決の意義」 田村善之教授

 インクジェットプリンタ用のインクタンク(インクカートリッジ)にインクを再充填する行為は、本件特許発明の本質的部分と抵触するから消尽の範囲外であるとするその論理は、消尽理論の本来の趣旨であるはずの取引の安全を損ないかねないという立場から、「ドラフティングの技術で非侵害の結論が侵害の結論に変更されることは、特許制度の趣旨とは無関係に権利範囲を拡張することになりかねない」等の指摘がなされている。
(NBL836号18頁)

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2006年07月05日
 ■ WinMXを利用して音楽著作物を送信した場合に、プロバイダ事業者に対する氏名開示要求が認められた事件

 「WinMX送信は法2条1号の『特定電気通信』に該当し、その送信が経由プロバイダの電気通信設備を経由して受信者に到達する以上、当該電気通信設備は特定電気通信の用に供されているのであり、これを用いて他人の通信を媒介する経由プロバイダは法4条1項の定める『開示関係役務提供者』に該当する」「原告の送信可能化権がそれぞれ侵害されたこと、ユーザーNISSAN及びユーザーcrownの発信者情報が原告の損害賠償請求権の行使のために必要であること(法4条1項1号、同項2号)は明らか」であるとして原告の請求を認容したものである。
ファイル交換ソフトによる違法行為を防止する上でも、妥当な結論と言えよう。
(判例時報1928号78頁)

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2006年07月03日
 ■ 外国為替証拠金取引において、虚偽の説明を行い顧客に損害を与えた事件

 「本件取引が、実際はエメラルド社と原告ら顧客との相対取引であるにもかかわらず、エメラルド社が外国為替市場において原告ら顧客の注文どおりの外貨売買を行うことを内容とする取引であるという虚偽の説明をし、、、エメラルド社が米国でも有数の外国為替取引企業であるとの許後に説明をパンフレットや契約書類に記載し、、、、原告らに、その旨誤信させて本件契約を締結させ、証拠金を送金させたもので、、、このような被告会社の行為は、原告らに対する不法行為を構成する」と判示した。妥当な判断である。
(判例事情1927号148頁)

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