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2006年02月27日
 ■ 「資金運用を目的としたデリバティブ取引に関する会社の内部統制 ー運用失敗による株主代表訴訟事例を参考に」 福島良治氏

デリバティブ取引により経常利益の4倍を超える損害を会社に生じさせたヤクルト株主代表訴訟事件を参考に、コーポレート・ガバナンスや内部統制の観点からのリスク管理について論じられている。
平成18年施行予定の会社法により、大会社では取締役会がいわゆる内部統制システムを決定することが義務づけられており、参考になると思われる。
(金融法務事情1763号25頁)

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2006年02月24日
 ■ 「改正独占禁止法 課徴金減免制度の導入(下)」 弁護士川合弘造、弁護士森大樹氏

課徴金減免制度の導入が弁護士実務に与える影響について論じられている。特に、課徴金減免のために報告書を提出している企業とそうでない企業との間においては利害関係が異なるため、情報交換を目的とした弁護団会議を行う場合には、「弁護士間で共同防御契約を締結し、弁護士間での協力や情報交換の目的や意味を明確にした上で、交換された情報の取扱いについての約定を取り交わす必要が生じてくるように思われる」と指摘されている。
(NBL827号33頁)

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2006年02月22日
 ■ 「J−SOXをめぐる現状と今後の動き」 内田芳樹氏

米国の企業改革法(Sarbanes Oxley Act)の日本版をめぐる動き(「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」企業会計審議会内部統制部会)や現状についてコメントされている。
(金融法務事情1762号1頁)

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2006年02月21日
 ■ シックハウス瑕疵担保責任事件

 販売されたマンションのホルムアルデヒドによる環境汚染(シックハウス)が問題となった事案であり、裁判所は、「本件売買契約当時までの住宅室内のホルムアルデヒド濃度に関する一連の立法、行政における各種取組の状況を踏まえると、当時行政レベルで行われていた各種取組においては、住宅室内におけるホルムアルデヒド濃度を少なくとも厚生省指針値の水準に抑制すべきものとすることが推奨されていたものと認めるのが相当である。」「原告らに対する引渡当時における本件建物の室内空気に含有されたホルムアルデヒドの濃度は、0.1?/立方?を相当程度超える水準にあったものと推認されることから、本件建物にはその品質につき当事者が前提としていた水準に到達していないという瑕疵が存在するものと認められる」と判示した。
(判例時報1914号107頁)

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2006年02月17日
 ■ 「電子商取引等に関する準則の改訂について」 経済産業省商務情報政策局 紀田 馨氏

平成14年3月に策定された「電子商取引等に関する準則」が、平成18年2月1日、4回目の改訂がなされたポイントについて解説されている。特に、ソフトウェアの使用許諾が及ぶ人的範囲について、派遣社員がその企業の業務に使用する場合や、再委託を受けたソフトウェアベンダが社内に常駐し、ライセンシー企業の業務と密接に関連しているような特定の場合には、ソフトウェアの使用許諾が及ぶことがある点が指摘されている。
 また、インターネットサイト上の情報について、著作権者の黙示の許諾が認められる場合があることも指摘されている。
(NBL827号13頁)

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2006年02月14日
 ■ 広告写真無断再利用事件

 広告写真家が撮影した写真につき、無断で再利用された事件につき、制作会社についてはその責任を認めたものの、広告主の責任について、裁判所は、「広告制作会社から、その顧客として、広告用写真のフィルムを借り受け、これを使用するに当たっては、その広告制作会社から、別途著作権者の許諾が必要であると指摘されない限り、その写真の著作権が既に消滅しているか、その広告制作会社が著作権を取得しているか、著作権者から使用の許諾を受けているかはともかく、その写真を使用することが他者の著作権を侵害するものではないものと考えて、その写真を使用したとしても、注意義務に違反するものとはいえない」と判示した。
(判例時報1913号154頁)

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2006年02月13日
 ■ 特許訂正審決確定による破棄自判事件

 特許を無効にすべき旨の審決の取消請求を棄却した原判決に対する上告受理申立事件につき、最高裁は、「特許を無効にすべき旨の審決の取消請求を棄却した原判決に対して上告受理の申立てがされ、その後、当該特許について特許出願の願書に添付された明細書を訂正すべき旨の審決が確定し、特許請求の範囲が減縮された場合には、原判決の基礎となった行政処分が後の行政処分によって変更されたものとして、原判決には民訴法338条1項8号に規定する再審の事由がある。この場合には、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があった」と判示した。
(判例タイムズ1197号114頁)

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2006年02月10日
 ■ 利息制限法違反の不当利得返還請求法定利息事件

 利息制限法所定の制限を超えて支払われた利息・損害金についての不当利得返還請求における法定利率について、裁判所は、「商取引における資金需要の繁忙と投下資本による高収入の可能性があることから法定利率を年6分に引き上げた立法趣旨からみて、上記の不当利得返還請求権をもって商行為によって生じた債権に準ずるものと解することはできない」と判示し、民法法定利率年5分が相当であるとした。
(金融法務事情1761号42頁)

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2006年02月09日
 ■ 「中国における模倣品対策およびライセンス規制について」 松下電器産業? 平野周之氏

国際知的財産保護フォーラム参加企業の具体的事例や中国における模倣品対策及びライセンス規制(技術供与側の責任規定、ロイヤルティ料率の上限規制、送金規制)に関する問題点等について説明がなされている。
(NBL826号72頁)

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2006年02月07日
 ■ 民事再生における租税債務代位弁済事件

 再生会社の租税債務を代位弁済したことにより取得した求償権が一般優先債権となるかどうかについて争われた事件であるが、東京地裁は、「本件保証契約は、本件再生手続開始決定前に締結されていることからすると、本件求償権の基礎となる発生原因事実は、本件再生手続開始前に生じていたということができる。本件求償権は、『再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権』に該当する」として、一般優先債権にはならないとした。
(判例時報1912号70頁)

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2006年02月03日
 ■ 遺産分割協議中の賃料債権帰属事件

 共有相続財産である不動産から生ずる賃料債権について、最高裁は、「遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである」と判示した。
(判例タイムズ1195号100頁)

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2006年02月01日
 ■ キャノン・インクタンク事件

 本件訴訟において,被控訴人は,被控訴人製品のうち,我が国の国内において販売された控訴人製品にインクを再充填するなどしたものについては,本件特許権が消尽したことにより,控訴人は本件特許権に基づく差止め及び廃棄請求権を行使することはできないと主張し,控訴人は,その工程等に照らせば,改めて本件発明10に係る生産方法を実施して本件発明1の技術的範囲に属する製品を新たに生産する行為により製造されたものであるから,被控訴人製品について控訴人が本件特許権に基づく権利行使をすることは妨げられないと主張して争われた事件である。
 本件につき、知財高裁は、「特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国の国内において当該特許発明に係る製品(以下「特許製品」という。)を譲渡した場合には,当該特許製品については特許権はその目的を達したものとして消尽し,もはや特許権者は,当該特許製品を使用し,譲渡し又は貸し渡す行為等に対し,特許権に基づく差止請求権等を行使することができないというべきである(BBS事件最高裁判決参照),(ア) 当該特許製品が製品としての本来の耐用期間を経過してその効用を終えた後に再使用又は再生利用がされた場合(以下「第1類型」という。),又は,(イ) 当該特許製品につき第三者により特許製品中の特許発明の本質的部分を構成する部材の全部又は一部につき加工又は交換がされた場合(以下「第2類型」という。)には,特許権は消尽せず,特許権者は,当該特許製品について特許権に基づく権利行使をすることが許されるものと解するのが相当である。その理由は,第1類型については,? 一般の取引行為におけるのと同様,特許製品についても,譲受人が目的物につき特許権者の権利行使を離れて自由に業として使用し再譲渡等をすることができる権利を取得することを前提として,市場における取引行為が行われるものであるが,上記の使用ないし再譲渡等は,特許製品がその作用効果を奏していることを前提とするものであり,年月の経過に伴う部材の摩耗や成分の劣化等により作用効果を奏しなくなった場合に譲受人が当該製品を使用ないし再譲渡することまでをも想定しているものではないから,その効用を終えた後に再使用又は再生利用された特許製品に特許権の効力が及ぶと解しても,市場における商品の自由な流通を阻害することにはならず,? 特許権者は,特許製品の譲渡に当たって,当該製品が効用を終えるまでの間の使用ないし再譲渡等に対応する限度で特許発明の公開の対価を取得しているものであるから,効用を終えた後に再使用又は再生利用された特許製品に特許権の効力が及ぶと解しても,特許権者が二重に利得を得ることにはならず,他方,効用を終えた特許製品に加工等を施したものが使用ないし再譲渡されるときには,特許製品の新たな需要の機会を奪い,特許権者を害することとなるからである。また,第2類型については,特許製品につき第三者により特許製品中の特許発明の本質的部分を構成する部材の全部又は一部につき加工又は交換がされた場合には,特許発明の実施品という観点からみると,もはや譲渡に当たって特許権者が特許発明の公開の対価を取得した特許製品と同一の製品ということができないのであって,これに対して特許権の効力が及ぶと解しても,市場における商品の自由な流通が阻害されることはないし,かえって,特許権の効力が及ばないとすると,特許製品の新たな需要の機会を奪われることとなって,特許権者が害されるからである。」と判示した。
(最高裁HP、知財高裁平成17年1月31日、平成17年(ネ)第10021号 特許権侵害差止請求控訴事件)

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