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2007年05月30日
 ■ 銀行員が権限なく行った契約につき、顧客に重過失があるとされた事例

平成18年3月17日東京地裁判決

日本国内の外国銀行の行員が、権限無く考え出した架空金融商品の取引につき、裁判所は、原告は銀行との取引経験が豊富であると言えること、通常の金利の数倍から数千倍にも及ぶ高い金利が約束されていたこと、為替差損の危険がなかったことなどから、このような商品を銀行が通常取り扱うとは考えられないこと、各契約書は不自然かつ不正確な英語表記を含むものであったこと、原告が報酬名目で数千万円以上の金員を受け取っていたこと、Aの異動及び退職、Aの権限などについて、銀行に確認することが容易であったことなどの間接事実を認定し、「本件各定期預金契約に係る商品がAの考えた架空商品であって、被告の正規の商品ではないことを疑う能力を十分有し、かつ、この商品が被告の正規の商品か否かについて、被告に対して確認することは容易であったにもかかわらず、原告らは何らの確認をしなかったといわざるを得ないのであって、Aが権限を有しないことを原告らが知らなかったことについては、原告らに優に重大な過失があったと認められる」と判示し、原告らのよる預金返還請求を棄却したものである。

(判例タイムズ1236号237頁)

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2007年05月28日
 ■ 外国語会話学校の中途解約精算金事件

平成19年4月3日最高裁判決(解約精算金請求事件)

「特定継続的役務提供契約の役務の対価を受領した役務提供事業者が、役務の提供を受ける者(以下「役務受領者」という。)による契約の解除に伴い、その受領金の額から提供された役務の対価に相当する額(以下「提供済役務対価相当額」という。)を控除した残額を返還する場合において、受領金の授受に際して役務の対価に単価が定められていたときは、役務提供事業者は、原則として、その単価によって提供済役務対価相当額を算定すべきであり、合理的な理由なくこれと異なる単価を用いることは、法49条2項の趣旨に反し許されない。本件清算規定は、それが契約時単価と異なる単価によって提供済役務対価相当額を算定すべきものとしていることに合理的な理由はないから、無効である。
 法49条1項は、特定継続的役務提供契約が締結された場合、役務受領者は、同項所定の期間を経過した後においては、将来に向かって当該契約の解除をすることができる旨を定め、同条2項1号は、特定継続的役務提供契約が役務の提供開始後に解除されたときは、役務提供事業者は、役務受領者に対し、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、提供済役務対価相当額と解除によって通常生ずる損害の額として政令で定める額(外国語会話教室に係る特定継続的役務の場合、5万円又は解除された契約に係る役務の対価の総額から提供済役務対価相当額を控除した額の100分の20に相当する額のいずれか低い額)を合算した額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額(以下、この金額を「法定限度額」という。)を超える額の金銭の支払を請求することができない旨を定めている。
 上告人は、本件使用済ポイントの対価額について、本件清算規定に従って算定すべきであると主張する。しかし、本件清算規定に従って算定される使用済ポイントの対価額は、契約時単価によって算定される使用済ポイントの対価額よりも常に高額となる。本件料金規定は、契約締結時において、将来提供される各役務について一律の対価額を定めているのであるから、それとは別に、解除があった場合にのみ適用される高額の対価額を定める本件清算規定は、実質的には、損害賠償額の予定又は違約金の定めとして機能するもので、上記各規定の趣旨に反して受講者による自由な解除権の行使を制約するものといわざるを得ない。」

(最高裁HP)

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2007年05月22日
 ■ 「ELLE」商標侵害事件

平成19年5月16日東京地裁判決

 本件は、「ELLE」等の商標につき商標権を有するとともに、「ELLE」等の商標を周知又は著名商標として使用する原告が、「ELLEGARDEN 」との被告標章を付した被告商品を販売する被告に対し、‐綉商標権、不正競争防止法3条及び2条1項1号又はF泳。馨魑擇咤仮鬘厩爍温罎亡陲鼎(ただし、被告標章(10)については、不正競争防止法3条及び2条1項1号又は2号のみに基づく。)、“鏐霈ι覆悗糧鏐霽絃呂了藩囘の差止め、並びに被告商品からの被告標章の抹消及びH鏐陬ΕД屮汽ぅ箸らの被告標章を付した被告商品の広告表示の削除を求めた事案であるが、裁判所は、「被告標章は、それぞれ具体的なデザインに相違はあるものの、いずれも「ELLEGARDEN 」の10文字の欧文字から成る。このうち、「ELLE 」の部分は、上記のとおり我が国において著名な商標である本件ELLE 商標と同じ綴りから成る。また、「GARDEN 」の部分は、我が国における英語教育の水準からすると、それに接した需要者により、「庭、庭園」等の意味を有する普通名詞であると理解されるため、被告標章は、同需要者により、「ELLE 」と「GARDEN 」の2つの単語より成るものとして理解されるものと認められる。」「著名商標は、その著名性故に看者の強い注意を惹き、結合商標の中に著名商標と同じ綴りが含まれる場合、当該著名商標と同じ綴りの部分に看者の注意が向くと考えられるところ、「ELLEGARDEN 」のうち「ELLE 」の部分は、著名な本件ELLE 商標と同じ綴りから成るから、当該部分は極めて強い出所表示機能を有すると認められる。他方、「GARDEN 」の部分は、著名商標と同じ綴りの「ELLE 」部分に比し、出所表示機能が弱いというべきである。したがって、被告標章の要部は、「ELLE 」の部分であると認められる」等と判断し、商標権侵害を認めたものである。

(最高裁HP)

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2007年05月18日
 ■ 建物占有者との明渡交渉業務につき、弁護士法違反が認定された事案

東京高裁平成19年4月26日判決

本件は、被控訴人が、控訴人から控訴人が競落した不動産に関し建物占有者の明渡し等の業務を請け負い、当該業務を完了したにもかかわらず、約定の請負代金のうち329万8485円が未払であるとして、控訴人に対し、同金員及びこれに対する平成13年8月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案であるが、裁判所は、「被控訴人が控訴人との間で本件契約を締結して前記の行為を行ったことは、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、業として、弁護士法第72条本文所定の法律事務を取り扱い、その周旋を行ったことに当たり、同条本文に違反するものといわざるを得ない。本件契約は、同条違反の法律事務の取扱いの根拠となるものであり、本件契約を有効とすることは、同条本文に違反する行為が繰り返されることを是認することにほかならない。したがって、本件契約は、同条本文に違反する事項を目的とする契約として民法第90条により無効であるというべきである。」として、被控訴人の請求を認めなかったものである。

(最高裁HP)

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2007年05月17日
 ■ 著作権法上の送信可能化権の帰属が争われた事例

平成19年4月27日東京地裁判決(40民事部)

 本件は、本件音源について実演をした原告らが、本件音源に関する実演家の送信可能化権は原始的に原告らに帰属し、同権利はレコード会社である被告側との専属実演家契約により被告側に承継されていない旨主張して、原告らが実演家の送信可能化権を有することの確認を求めたのに対して、被告が、反訴として、同専属実演家契約により、送信可能化権を含む実演家の著作隣接権は被告側に譲渡された旨主張して、被告が実演家の送信可能化権を有することの確認を求めた事案であるが、裁判所は、諸事情を総合的に考慮し、「本件音源についての実演家の送信可能化権も、本件契約4条柱書の『一切の権利(原告らの著作隣接権を含む)』に含まれ、平成10年1月1日に著作権法92条の2が施行された時点で、原告らが原始的に取得すると同時に、SMEに対して譲渡され、その後、被告に承継されたものというべきである」と判示した。

(最高裁HP)

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2007年05月14日
 ■ まねきTV著作権仮処分事件

平成18年8月4日東京地裁(47民)決定

 ソニー製「ロケーションフリーテレビ」の構成機器であるベースステーションを用いて、インターネット回線を通じてテレビ番組を視聴できる「まねきTV」というサービスについて放送事業者の送信可能化権を侵害しているか争われた事件につき、裁判所は、「本件サービスにおいては、利用者が、自己の所有するベースステーションによって、放送波を受信し、自己の専用モニター又はパソコンから視聴したい放送を選択し、当該放送を上記ベースステーションによってデジタルデータ化した上、上記専用モニター又はパソコンに対し、デジタルデータ化した放送データを送信しているものである。これを利用者の立場からみれば、ソニー製のロケーションフリーテレビを債務者に寄託することにより、その利用が容易になっているにすぎない。」とし、「本件サービスにおける個々のベースステーションは、『自動公衆送信装置』に当たらず、債務者の行為は、著作権法2条1項9号の5に規定する送信可能化行為にあたらない」として債権者の請求につき却下したものである。

(判例タイムズ1234号278頁)

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2007年05月13日
 ■ 包括根保証につき元代表取締役が責任を負わないとされた事例

大阪地裁平成18年9月20日判決

 信用金庫取引上の債務につき、包括根保証を行っていた元代表取締役が辞任後の借入についても責任を負うかどうか争われた事件につき、大阪地裁は、「「包括根保証契約に基づく責任については、保証人の責任が過酷にならないよう配慮する必要があり、主債務者と保証人との関係、保証契約締結の経緯、債権者と主債務者との取引の態様及び経過、保証契約締結後の保証人の地位や主債務者との関係の変化等の諸事情を考慮して、保証の範囲を信義則に従い合理的に解釈すべきものと解される」とした上で、オーナー社長でない点、本件保証をはずすよう求めていたこと、信用金庫がその後の保証意思の確認をしていないこと、本件借入は従来の取引規模と比べて相当多額な借入であったこと、個別保証も求めていないこと等の事実を認定し、「以上の諸事情を考慮すると、十三信金が被告に対して、本件貸付に係る債務について本件保証債務の履行を求めることは、信義則に反し許されないと解するのが相当である」と判示した。

(判例タイムズ1235号212頁)

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2007年05月11日
 ■ 交通事故に関する一部請求につき、残部にも催告による時効中断があるとされた事例

平成19年2月22日付け高松高裁判決

 交通事故による損害賠償請求につき、一部請求を行っていたところ、その残部につき3年の消滅時効にかかるとする抗弁が主張された事件につき、裁判所は、「本件訴訟において、認容を求める請求額の上限を画して訴えを提起してはいるものの、特段損害項目を特定して請求額を限定したものではなく、本件事故により梅夫及び被控訴人らの被った全損害につき、自賠法3条本文に基づく損害賠償請求権を有することを主張し、請求額を超える全損害の内容及び損害額の主張立証をし、単に請求した額の限度での支払を求めていたにすぎないのであるから、そのような事実関係の下においては、被控訴人らは、本件訴訟の提起及び係属により、当審拡張請求(残部請求)部分についてもこれを行使する意思を継続的に表示していたものと評価するのが相当であって、同部分につき、民法153条にいう「催告」が継続していたと解するのが相当である」と判示した。

(判例時報1960号40頁)

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2007年05月10日
 ■ 戸籍法の一部を改正する法律案が成立

 戸籍法の一部を改正する法律案(閣法第59号)が平成19年3月6日に国会提出され、成立しております。その改正趣旨は、戸籍に記載された個人情報を保護するため、戸籍の公開制度を見直し、戸籍の謄抄本等の交付の請求をすることができる場合を制限するとともに、当該請求をする者の本人確認、不正に交付を受けた者の処罰等を行い、また、戸籍の真実性を担保するため、届出の受理の通知手続等を定めるなど戸籍の制度について所要の整備を行う必要があるというものです。

法律案要綱

第一  戸籍の謄本等の交付請求
 一  交付請求
  1  戸籍に記載されている者等による請求
   (一)  戸籍に記載されている者又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができるものとすること。(第十条第一項関係)
   (二)  市町村長は、(一)の請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができるものとすること。(第十条第二項関係)
  2  第三者請求等
   (一)  第三者請求
 1(一)に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができるものとすること。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならないものとすること。(第十条の二第一項関係)
    (1)  自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由
    (2)  国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由
    (3)  (1)及び(2)に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由
   (二)  公用請求
 (一)にかかわらず、国又は地方公共団体の機関は、法令の定める事務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができるものとすること。この場合において、当該請求の任に当たる権限を有する職員は、その官職、当該事務の種類及び根拠となる法令の条項並びに戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならないものとすること。(第十条の二第二項関係)
   (三)  弁護士等による請求
    (1)  (一)にかかわらず、弁護士(弁護士法人を含む。)、司法書士(司法書士法人を含む。)、土地家屋調査士(土地家屋調査士法人を含む。)、税理士(税理士法人を含む。)、社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。)、弁理士(特許業務法人を含む。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法人を含む。)は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができるものとすること。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該業務の種類、当該事件又は事務の依頼者の氏名又は名称及び当該依頼者についての(一)に定める事項を明らかにしてこれをしなければならないものとすること。(第十条の二第三項関係)
    (2)  (一)及び(1)の規定にかかわらず、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士又は弁理士は、受任している事件について紛争解決手続の代理業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができるものとすること。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該事件の種類、その業務として代理し又は代理しようとする手続及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならないものとすること。(第十条の二第四項関係)
    (3)  (一)及び(1)の規定にかかわらず、弁護士は、刑事に関する事件における弁護人としての業務等を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができるものとすること。この場合において、当該請求をする者は、弁護士の資格、これらの業務の別及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならないものとすること。(第十条の二第五項関係)
 二  本人確認等
  1  一の請求をする場合において、現に請求の任に当たっている者は、市町村長に対し、運転免許証を提示する方法その他の法務省令で定める方法により、当該請求の任に当たっている者を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を明らかにしなければならないものとすること。(第十条の三第一項関係)
  2  1の場合において、現に請求の任に当たっている者が、当該請求をする者(一の2の(二)の請求にあっては、請求の任に当たる権限を有する職員。以下「請求者」という。)の代理人であるときその他請求者と異なる者であるときは、当該請求の任に当たっている者は、市町村長に対し、法務省令で定める方法により、請求者の依頼又は法令の規定により当該請求の任に当たるものであることを明らかにする書面を提供しなければならないものとすること。(第十条の三第二項関係)
 三  資料の提供等
 市町村長は、一の2の請求がされた場合において、請求者が明らかにしなければならない事項が明らかにされていないと認めるときは、当該請求者に対し、必要な説明を求めることができるものとすること。(第十条の四関係)
 四  除かれた戸籍の謄本等の交付請求
 一から三までの規定は、除かれた戸籍の謄本若しくは抄本又は除かれた戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「除籍謄本等」という。)の交付の請求をする場合に準用するものとすること。(第十二条の二関係)
第二  戸籍の記載の真実性を担保するための措置
 一  届出の際の確認手続
 市町村長は、届出によって効力を生ずべき認知、縁組、離縁、婚姻又は離婚の届出(以下「縁組等の届出」という。)が市役所又は町村役場に出頭した者によってされる場合には、当該出頭した者を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す運転免許証その他の資料の提供又はこれらの事項についての説明を求めるものとすること。(第二十七条の二第一項関係)
 二  確認できなかった場合の措置
 市町村長は、縁組等の届出があった場合において、届出事件の本人のうちに、一の規定による措置によっては市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを確認することができない者があるときは、当該縁組等の届出を受理した後遅滞なく、その者に対し、法務省令で定める方法により、当該縁組等の届出を受理したことを通知しなければならないものとすること。(第二十七条の二第二項関係)
 三  届出の不受理申出
  1  何人も、その本籍地の市町村長に対し、あらかじめ、法務省令で定める方法により、自らを届出事件の本人等とする縁組等の届出がされた場合であっても、自らが市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを一の規定による措置により確認することができないときは当該縁組等の届出を受理しないよう申し出ることができるものとすること。(第二十七条の二第三項関係)
  2  市町村長は、1の申出に係る縁組等の届出があった場合において、1の申出をした者が市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを一の規定による措置により確認することができなかったときは、当該縁組等の届出を受理することができないものとすること。(第二十七条の二第四項関係)
  3  市町村長は、2の規定により縁組等の届出を受理することができなかった場合は、遅滞なく、1の申出をした者に対し、法務省令で定める方法により、当該縁組等の届出があったことを通知しなければならないものとすること。(第二十七条の二第五項関係)
第三  その他
 一  死亡届の届出資格者の拡大
 死亡の届出は、後見人、保佐人、補助人及び任意後見人も、これをすることができるものとすること。(第八十七条第二項関係)
 二  磁気ディスクをもって調製された戸籍等への準用
 戸籍又は除かれた戸籍が磁気ディスクをもって調製されているときは、第一の一又は第一の四の請求は、戸籍謄本等又は除籍謄本等に代えて、磁気ディスクをもって調製された戸籍又は除かれた戸籍に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面についてすることができるものとすること。(第百二十条第一項関係)
 三  不服申立手続
  1  第一の一又は第一の四の請求、第四十八条第二項の規定による請求及び第三の二の請求について市町村長がした処分に不服がある者は、市役所又は町村役場の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができるものとすること。(第百二十四条関係)
  2  1の処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求の裁決を経た後でなければ、提起することができないものとすること。(第百二十五条関係)
 四  学術研究のための戸籍及び除かれた戸籍に関する情報提供
 市町村長又は法務局若しくは地方法務局の長は、法務省令で定める基準及び手続により、統計の作成又は学術研究であって、公益性が高く、かつ、その目的を達成するために戸籍若しくは除かれた戸籍に記載した事項又は届書その他市町村長の受理した書類に記載した事項に係る情報を利用する必要があると認められるもののため、その必要の限度においてこれらの情報を提供することができるものとすること。(第百二十六条関係)
 五  制裁の強化
  1  偽りその他不正の手段により、第一の一の戸籍謄本等、第一の四の除籍謄本等又は第三の二に規定する書面の交付を受けた者は、三十万円以下の罰金に処するものとすること。(第百三十三条関係)
  2  偽りその他不正の手段により、第四十八条第二項の規定による閲覧をし、又は証明書の交付を受けた者は、十万円以下の過料に処するものとすること。(第百三十四条関係)
  3  正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、五万円以下の過料に処するものとすること。(第百三十五条関係)
  4  市町村長が、第四十四条第一項又は第二項の規定によって、期間を定めて届出又は申請の催告をした場合に、正当な理由がなくてその期間内に届出又は申請をしない者は、十万円以下の過料に処するものとすること。(第百三十六条関係)
  5  正当な理由がなくて届出又は申請を受理しないとき等戸籍事件について職務を怠ったときは、市町村長を、十万円以下の過料に処するものとすること。(第百三十七条関係)
 五  施行期日
 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。(附則第一条関係)
 六  この法律による戸籍法に関する規定の整備等に伴い、所要の経過措置を講ずること(附則第二条及び第三条まで関係)
 七  関係法律について所要の規定の整備をすること。(附則第四条から第六条まで関係)

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2007年05月09日
 ■ 知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針

公正取引委員会において、知的財産の利用に係る制限行為について、独占禁止法上の考え方を一層明確化するため、現行指針を全面的に改定することとされた(平成19年4月27日)

知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針(原案)

第1 はじめに
1 競争政策と知的財産制度
2 本指針の適用対象
3 本指針の構成等
第2 独占禁止法の適用に関する基本的な考え方
1 独占禁止法と知的財産法
2 市場についての考え方
3 競争減殺効果の分析方法
4 競争に及ぼす影響が大きい場合の例
(1) 競争者間の行為
(2) 有力な技術
5 競争減殺効果が軽微な場合の例
第3 私的独占及び不当な取引制限の観点からの考え方
1 私的独占の観点からの検討
(1) 技術を利用させないようにする行為
(2) 技術の利用範囲を制限する行為
(3) 技術の利用に条件を付す行為
2 不当な取引制限の観点からの検討
(1) パテントプール
(2) マルティプルライセンス
(3) クロスライセンス
第4 不公正な取引方法の観点からの考え方
1 基本的な考え方
2 技術を利用させないようにする行為
3 技術の利用範囲に関する制限
(1) 権利の一部の許諾
ア 区分許諾
イ 技術の利用期間の制限
ウ 技術の利用分野の制限
(2) 製造に係る制限
ア 製造できる地域の制限
イ 製造数量の制限又は製造における技術の使用回数の制限
(3) 輸出に係る制限
(4) サブライセンス
4 技術の利用に伴いライセンシーに課される制限
(1) 原材料・部品に係る制限
(2) 販売に係る制限
(3) 販売価格・再販売価格の制限
(4) 競争品の製造・販売又は競争者との取引の制限
(5) 最善実施努力義務
(6) ノウハウの秘密保持義務
(7) 不争義務
5 その他の制限
(1) 一方的解約条件
(2) 技術の利用と無関係なライセンス料の設定
(3) 権利消滅後の制限
(4) 一括ライセンス
(5) 技術への機能追加
(6) 非係争義務
(7) 研究開発活動の制限
(8) 改良技術の譲渡義務・独占的ライセンス義務
(9) 改良技術の非独占的ライセンス義務
(10) 取得知識,経験の報告義務

公正取引委員会
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/07.april/07042702.pdf

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2007年05月08日
 ■ データベース開発請負契約の債務不履行

東京地裁平成18年6月30日判決

ソフトウェア開発基本契約を締結し、発注者に対し、サーバーを販売したものの、データベースを完成させることができなかった事案につき、裁判所は、「本件契約は、データベースの開発を目的とした請負契約であると解されるところ、原告が被告から本件サーバーを購入したことは、原告と被告との間の本件サーバーにかかる売買契約であるといえる。」しかし、「ウィンドウズサーバーによるデータベースの開発を前提にしており、そのことからこれまで使用していたマッキントッシュサーバーからウィンドウズサーバーに変更することを前提として、原告はウィンドウズ用の本件サーバーを購入したのであって、本件データーベースの開発がなければ本件サーバーを購入していない関係にあるといえる。」「このように本件サーバーにかかる売買契約は本件契約と一体であり、本件契約の解除事由は当然に本件サーバーの購入にかかる売買契約の解除事由に該当するものというべきである」として、既払代金の返還及び本件サーバーの撤去が認められたものである。

(判例時報1959号73頁)

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2007年05月07日
 ■ Eディスカバリー(Federal Rules of Civil Procedure)

「米国訴訟におけるディスカバリー手続と日本企業に求められる対応 ーEディスカバリーに関する改正法を踏まえて」 弁護士眞鍋佳奈

2006年12月1日、Eディスカバリーに対応した米国連邦民事訴訟法規則(Federal Rules of Civil Procesure)の改正法が施行され、電子的に保存された情報について、「electronically stored information」を追加してディスカバリーの対象となることを明確にしたというものである。
論者は、会社法により要請されている法定書類の備置や個人情報保護法による個人情報の適正な管理など、法令順守の態勢を備えることは最低限の要請であるが、米国での訴訟に巻き込まれる可能性のある企業は、訴訟が合理的に予期された段階で適切な訴訟ホールドが可能性を取っておくことも不可欠であり、また、電子情報を含めた全社的な文書・データ管理規定の整備とその実施が必要であるとしている。

(NBL856号22頁)

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2007年05月06日
 ■ プログラムに関する特許につき、不服審判請求を不成立とした審決が違法とされた事案

平成19年4月26日知財高裁判決

 発明名称を「取引可否決定方法,取引可否決定システム,中央装置,コンピュータプログラム,及び記録媒体」とする特許出願につき,本件補正後の請求項1に係る発明は,特許法29条2項の規定により特許出願の際,独立して特許を受けることができるものではなく,特許法17条の2第5項で準用する同法126条4項の規定に違反するから,本件補正は,平成15年改正前特許法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下すべきものであり,本件補正前の請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから,他の請求項について検討するまでもなく,本願は特許を受けることができない,とした審決の取消しを求めたものである。
 知財高裁は,審決が認定した「業務の中で,一方の部署から,他方の部署へ書類を送付し,他方の部署で審査処理を行う場合に,その処理に要する時間を短くするために,一方の部署でできあがった書類を順に他方の部署に送付し,他方の部署では,それらの書類を順次受け取って処理を順次開始し進行させていき,最後に順次進行させた処理の総合的な結果に基づいて承認するか否かの結果を示すこと」は,たとえ周知技術であると認められるとしても,特許法29条1,2項にいう刊行物等に記載された事項から容易想到性を肯認する推論過程において参酌される技術ではなく,容易想到性を肯認する判断の引用例として用いているのであるから,刊行物等に記載された事項として拒絶理由において挙示されるべきであったものである。しかも,本件補正発明1が引用例1に記載された発明と対比した場合に有する相違点2の構成は,本願発明の出願時から一貫して最も重要な構成の一つとされてきたのであり,出願人である原告が,審査及び審判で慎重な審理判断を求めたものであるのに,審決は,この構成についての容易想到性を肯認するについて,審査及び審判手続で挙示されたことのない特定の技術事項を周知技術として摘示し,かつ,これを引用例として用いたものであるから,審判手続には,審決の結論に明らかに影響のある違法があるものと断じざるを得ない。したがって,拒絶通知をした理由と異なる理由に基づいてされた措置が原告の防御の機会を与えなかったなどとして違法であるとする取消事由2は,上記の趣旨を主張するものとして理由があるものというべきである。

(最高裁HP)

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2007年05月05日
 ■ 敷引特約が無効であるとされた事例(京都)

平成19年4月20日京都地裁判決

 本件敷引特約が消費者契約法10条により無効となるには,)楫鑄澎特約が,民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重するものであること,及び¬泳。云鬘温爐傍定する基本原理である信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであることが必要である。
2 そこで,まず,前者の要件について検討するに,敷金は,賃料その他の賃借人の債務を担保する目的で賃借人から賃貸人に対して交付される金員であり,賃貸借目的物の明渡し時に,賃借人に債務不履行がなければ全額が,債務不履行があればその損害額を控除した残額が,賃借人に返還されることが予定されている。そして,賃貸借は,一方の当事者が相手方にある物を使用・収益させることを約し,相手方がこれに対して賃料を支払うことを約することによって成立する契約であるから,目的物を使用収益させる義務と賃料支払義務が対価関係に立つものであり,賃借人に債務不履行があるような場合を除き,賃借人が賃料以外の金銭の支払を負担することは法律上予定されていない。また,本件各証拠を検討しても,関西地方において敷引特約が事実たる慣習として成立していることを認めるに足りる証拠はない。そうすると,本件敷引特約は,上記第2の2(2)のとおり,敷金の一部を返還しないとするものであるから,民法の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者である賃借人の権利を制限するものというべきである。
3 次いで,本件敷引特約が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるかについて検討するに,上記2説示のとおり,賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり,賃借物件の損耗の発生は,賃貸借という契約の性質上当然に予定されているから,建物の賃貸借においては,賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生じる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する自然損耗に係る投下資本の回収は,通常,修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。したがって,自然損耗についての必要費を賃料により賃借人から回収しながら,更に敷引特約によりこれを回収することは,契約締結時に,敷引特約の存在と敷引金額が明示されていたとしても,賃借人に二重の負担を課すことになる。これに対し,被控訴人は,自然損耗についての修繕費用を賃料という名目で回収するか,敷引金という名目によって回収するかは,原則として賃貸人の自由に委ねられている事柄であり,本件においては,自然損耗についての修繕費用を敷引金という名目によって回収することにつき合理的理由があると主張するところ,確かに,自然損耗についての必要費の回収をどのような方法で行うかは,投資者たる賃貸人の自由に委ねられているから,賃貸人が,賃料には自然損耗についての必要経費を算入せず,低額に抑えた上で,自然損耗についての必要費を敷引金という名目によって回収したとしても,信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するとはいえない。しかし,本件各証拠を検討しても,控訴人及び被控訴人が,本件賃貸借契約締結時に,自然損耗についての必要経費を賃料に算入しないで低額に抑え,敷引金にこれを含ませることを合意したことを認めるに足りる証拠はないから,被控訴人の同主張は理由がない。
また,証拠(甲8)及び弁論の全趣旨によれば,敷引特約は,事実たる慣習とまではいえないものの,関西地区における不動産賃貸借において付加されることが相当数あり,賃借人が交渉によりこれを排除することは困難であって,消費者が敷引特約を望まないのであれば,敷引特約がなされない賃貸物件を選択すればよいとは当然にはいえない状況にあることが認められ,これに,上記第2の2(2)及び(4)のとおり,本件敷引特約は敷金の85%を超える金額を控除するもので,控訴人に大きな負担を強いるものであることを総合すると,本件敷引特約は,信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであると判断するのが相当である。これに対し,被控訴人は次の入居者を獲得するためのリフォーム代を敷引金名目で回収することは,一定の合理性を持つ旨主張するが,新規入居者獲得のための費用は,新規入居者の獲得を目指す賃貸人が負担すべき性質のものであって,敷引金名目で賃借人に転嫁させることに合理性を見いだすことはできない。また,被控訴人は,建物の賃貸借は,単純な契約関係にすぎず,賃貸人と賃借人との間に情報の格差が特にはないと主張するが,一消費者である賃借人と事業者である賃貸人との間では情報力や交渉力に格差があるのが通常であって,このことは被控訴人が事業者である本件においても同様であるから,被控訴人の同主張も理由がない。
4 以上によれば,本件敷引特約は,消費者契約法10条により,特約全体が無効であると認められるから,控訴人の本件請求は理由があり,これを棄却した原判決は相当でなく,本件控訴は理由がある。そこで,原判決を取り消して,本件請求を認容することとし,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法67条2項本文,61条を,仮執行宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。

(最高裁HP)

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2007年05月04日
 ■ 自動継続特約付きの定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効

平成19年4月24日最高裁(三)判決


自動継続定期預金契約における自動継続特約は,預金者から満期日における払戻請求がされない限り,当事者の何らの行為を要せずに,満期日において払い戻すべき元金又は元利金について,前回と同一の預入期間の定期預金契約として継続させることを内容とするものである(最高裁平成11年(受)第320号同13年3月16日第二小法廷判決・裁判集民事201号441頁参照)。消滅時効は,権利を行使することができる時から進行する(民法166条1項)が,自動継続定期預金契約は,自動継続特約の効力が維持されている間は,満期日が経過すると新たな満期日が弁済期となるということを繰り返すため,預金者は,解約の申入れをしても,満期日から満期日までの間は任意に預金払戻請求権を行使することができない。したがって,初回満期日が到来しても,預金払戻請求権の行使については法律上の障害があるというべきである。もっとも,自動継続特約によれば,自動継続定期預金契約を締結した預金者は,満期日(継続をしたときはその満期日)より前に継続停止の申出をすることによって,当該満期日より後の満期日に係る弁済期の定めを一方的に排除し,預金の払戻しを請求することができる。しかし,自動継続定期預金契約は,預金契約の当事者双方が,満期日が自動的に更新されることに意義を認めて締結するものであることは,その内容に照らして明らかであり,預金者が継続停止の申出をするか否かは,預金契約上,預金者の自由にゆだねられた行為というべきである。したがって,預金者が初回満期日前にこのような行為をして初回満期日に預金の払戻しを請求することを前提に,消滅時効に関し,初回満期日から預金払戻請求権を行使することができると解することは,預金者に対し契約上その自由にゆだねられた行為を事実上行うよう要求するに等しいものであり,自動継続定期預金契約の趣旨に反するというべきである。そうすると,初回満期日前の継続停止の申出が可能であるからといって,預金払戻請求権の消滅時効が初回満期日から進行すると解することはできない。

(最高裁HP)

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2007年05月03日
 ■ 著作権に関するロイヤリティ支払の合意を否定した事例

平成19年4月25日東京地裁判決


原告(バディ・コミュニケーション株式会社)が,バディが被告ハドソンから発注を受けて別紙1物件目録1記載のコンピュータプログラムを作成し,同プログラムの著作権を有することを前提に,主位的請求として,被告ハドソンに納入した同プログラムの複製物を被告ハドソンが他社に販売又は貸与する場合には,その販売及び貸与について被告ハドソンからバディに対してロイヤリティを支払う旨の合意が成立していたと主張していた事件につき,東京地裁は,「バディと被告ハドソン間にロイヤリティ支払の合意があったとは認められず,他に,これを認めるに足りる証拠はない。理由は以下のとおりである。ア 具体的な交渉の経過が認められないこと,イ 合意の内容に関する書面は作成されていないこと,ウ 本件訴訟に至るまで,ロイヤリティの請求が行われていないこと」を理由とし「客観的な事実経過及びバディの対応は,ロイヤリティ支払の合意の存在とは整合しないのであって,結局,同合意は成立していないものといわざるを得ない」と判示した。

(最高裁HP)

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2007年05月02日
 ■ 貸金業者の期限の利益の喪失を前提とする一括請求事件

大阪高裁平成18年7月21日判決


貸金業者による貸金請求事件につき、大阪高裁は、「本件期限の利益喪失特約がその文言とおり効力を有するとすると、、、利息制限法1条1項の趣旨に反して容認することはできない」「本件期限の利益喪失特約は、法律上は、制限超過部分の利息の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は、同項の趣旨に反して無効である」「上告人において、被上告人の求めに応じて分割支払を継続することによって期限の利益を再度付与されているとの誤解を有することは十分あり得ることである」「期限の利益を既に喪失していることなどにつき誤解を有していたことは、特段の事情のない限り、推認することができるものというべきである」として、審理不尽の違法があるとして、原判決を破棄したものである。


(判例時報1953号144頁)

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2007年05月01日
 ■ 契約準備段階における信義則上の注意義務違反と損害賠償請求の可否

最高裁平成19年2月27日 野澤正充教授


「Yの上記各行為によって、Xが、Yとの間で、本件基本契約又はこれと同様の本件商品の継続的な製造、販売に係る契約が締結されることについて強い期待を抱いていたことには相当の理由があるというべきであり、Xは、Yの上記各行為を信頼して、相応の費用を投じて上記のような開発、製造をしたというべきである」「Yには、Xに対する関係で、契約準備段階における信義則上の注意義務違反があり、Yは、これによりXに生じた損害を賠償すべき責任を負うというべきである」と判示した最高裁に関する評釈である。


本件におけるYが、本件商品の売買契約における当事者に該当すると言えるかどうかは微妙であるとし、契約の締結に対して必ずしもイニシアティヴのないYの責任を認めるとともに、その信義則上の注意義務違反を、契約交渉が現実に破棄された平成10年8月17日ではなく、それ以前のYの行為に求めている事例判決であり、「契約準備段階における信義則上の注意義務違反」の法的性質や損害賠償の範囲に関しても、課題が残っているとしている。


(NBL 855号 14頁)

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