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2007年05月13日

包括根保証につき元代表取締役が責任を負わないとされた事例

大阪地裁平成18年9月20日判決

 信用金庫取引上の債務につき、包括根保証を行っていた元代表取締役が辞任後の借入についても責任を負うかどうか争われた事件につき、大阪地裁は、「「包括根保証契約に基づく責任については、保証人の責任が過酷にならないよう配慮する必要があり、主債務者と保証人との関係、保証契約締結の経緯、債権者と主債務者との取引の態様及び経過、保証契約締結後の保証人の地位や主債務者との関係の変化等の諸事情を考慮して、保証の範囲を信義則に従い合理的に解釈すべきものと解される」とした上で、オーナー社長でない点、本件保証をはずすよう求めていたこと、信用金庫がその後の保証意思の確認をしていないこと、本件借入は従来の取引規模と比べて相当多額な借入であったこと、個別保証も求めていないこと等の事実を認定し、「以上の諸事情を考慮すると、十三信金が被告に対して、本件貸付に係る債務について本件保証債務の履行を求めることは、信義則に反し許されないと解するのが相当である」と判示した。

(判例タイムズ1235号212頁)