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2008年04月16日
 ■ 義務的団交事項の範囲

 労働組合法7条2号によれば,使用者が雇用する労働者の代表と団体交渉をすることを正当な理由なく拒むことを不当労働行為としている。では,使用者は,どのような事項につき,義務的に団交に応じなければならないのであろうか。この点につき,義務的団交事項となるかどうかの基準を示し,初任給が大幅に値下げされる場合について判断している判例を紹介する。

 まず,本判例は,労働組合法7条2号の趣旨(使用者に交渉を義務づけることで,労働条件等に関する問題について労働者の団結力を背景とした交渉力を強化し,労使対等の立場で行う自主的交渉による解決を促進し,もって労働者の団体交渉権を実質的に保障すること)から,義務的団交事項については,団体交渉を申し入れた労働者の団体の構成員たる労働者の労働条件等と解するのが相当であって,非組合員である労働者の労働条件に関する事項については,当然には義務的団交事項にあたらないが,それが将来にわたり組合員の労働条件,権利等に影響を及ぼす可能性が大きく,組合員の労働条件と関わりの強い事項については,義務的団交事項にあたるとの枠組みを示した。

 そして,初任給の値下げという,組合員の労働条件とは直接的には言えない事項について,―蘿さ覲曚常勤職員の賃金ベースとなることから,初任給の引き下げにより賃金格差が生じ,そのことは賃金の高い労働者の賃金を抑制する有形無形の影響を及ぼすおそれがあること,賃金格差は,組合員間に不満,あつれき生じさせる蓋然性が高いこと,従来,組合が初任給額を重視し,使用者においてもそれを理解し,初任給を組合に明らかにする運用がなされてきたこと,に楫鐔蘿さ襪涼猷爾欧蓮ぢ臧なものであること,を理由に,将来にわたり組合員の労働条件,権利等に影響を及ぼす可能性が大きくが組合員の労働条件との関わりが極めて強い事項であることが明らかであるとし,義務的団交事項にあたると判断した。
(東高判決19.7.31 判例時報1990号)

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