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2015年04月09日

民法改正案の閣議決定

平成27年3月31日、民法の債権に関する規定を抜本的に見直す民法改正案が閣議決定されました。
今国会での成立することになれば、3年以内に施行されることになりますので、各会社は、契約書や約款の改正など新法への対応・準備が必要になってきます。

【参考】
「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」(平成26年8月26日)
http://www.moj.go.jp/content/001127038.pdf

2013年08月09日

東京高裁判決による通達の改正

財産評価基本通達における大会社の株式保有割合による株式保有特定会社の判定基準の改正について

1 従来の取扱い
 取引相場のない株式の発行会社の中には、類似業種比準方式における標本会社である上場会社に比べて、資産構成が著しく株式等に偏った会社が見受けられます。このような会社の株式については、一般の評価会社に適用される類似業種比準方式により適正な株価の算定を行うことが期し難いものと考えられることから、財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます。)189((特定の評価会社の株式))(2)では、株式保有割合(評価会社の有する各資産の価額の合計額のうちに占める株式等の価額の合計額の割合)が25%以上である大会社を株式保有特定会社とし、その株式の価額を類似業種比準方式ではなく、原則として純資産価額方式で評価することとしていました(評価通達189-3((株式保有特定会社の株式の評価)))。

2 通達改正の概要等
(1) 東京高等裁判所判決の概要
 東京高等裁判所平成25年2月28日判決(以下「高裁判決」といいます。)において、この株式保有特定会社の株式の価額を原則として純資産価額方式により評価すること自体は合理的であると認められるものの、平成9年の独占禁止法の改正に伴って会社の株式保有に関する状況が、株式保有特定会社に係る評価通達の定めが置かれた平成2年の評価通達改正時から大きく変化していることなどから、株式保有割合25%という数値は、もはや資産構成が著しく株式等に偏っているとまでは評価できなくなっていたといわざるを得ないと判断されました。
(2) 通達改正の概要
 この高裁判決を受け、現下の上場会社の株式等の保有状況等に基づき、評価通達189(2)における大会社の株式保有割合による株式保有特定会社の判定基準を「25%以上」から「50%以上」に改正しました。

3 相続税等の更正の請求
 上記2の通達改正は判決に伴うものであるため、過去に遡って改正後の通達を適用することにより、過去の相続税等の申告の内容に異動が生じ相続税等が納めすぎになる場合には、国税通則法の規定に基づき、この通達改正を知った日の翌日から2月以内に所轄の税務署に更正の請求をすることにより、当該納めすぎとなっている相続税等が還付となります。
 なお、法定申告期限等から既に5年(贈与税の場合は6年)を経過している相続税等については、法令上、減額できないこととされていますのでご注意ください。

http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/kabushikhoyu/index.htm

2012年06月27日

2012年著作権法改正(違法ダウンロードへの罰則化)

 2012年6月20日、違法ダウンロードへの刑事罰導入を盛り込んだ著作権法改正案が可決、成立した。同年10月1日に施行される予定で、違法にアップロードされた音楽ファイル、ソフトウェア、映画、動画などをダウンロードする行為に対し、2年以下の懲役または200万円以下の罰金(親告罪)が科されることになった。
 また、今回の改正法では、映画DVDなどをハードディスクにコピーするいわゆる「リッピング」も違法行為として規制する。

 これまでネット上で違法コピーが蔓延し、音楽、ソフトウェア、映画、動画などの著作権者の権利が十分に守られず、経済的損失を与えているばかりか、創作へのインセンティブ、開発意欲を削ぎ、投下資本の回収が困難になるため、投資に躊躇せざるを得ない問題があった。また、違法コピーを利用することは、我々市民の遵法精神を鈍磨させてしまう麻薬的な負の効果も看過できないものであった。そのための改正であり、額に汗して努力した者が報われる社会、正直者が馬鹿を見ない社会が公正な社会であると言えよう。

 ただ、我々市民の立場から見れば、違法ダウンロードへの刑罰化については若干躊躇を覚える部分があり、行き過ぎた刑罰権の行使がなされないよう見守っていく必要がある。昨今のネット上には、合法的なコンテンツと違法なコンテンツがいわば混在していると言える部分があり、利用者には容易に判断できない事情が存する。また、通常、ダウンロードは自宅のPCで行われることが多く、捜査の範囲が安易に私生活に入り込んでいかないよう注意していく必要があろう。

2011年07月04日

電子商取引及び情報材取引等に関する準則」の改訂

 平成23年6月27日、経済産業省商務情報政策局情報経済課は、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の改訂を公表しました。

 改訂の内容は、下記の通りです。
・項目の並び順(目次)の修正
・ウェブサイトの利用規約の有効性に関する論点の修正
・未成年者による意思表示 に関する論点の修正
・CGMサービス提供事業者の責任に関する論点の修正
・電子商取引の返品に関する論点の追加・修正
・インターネット上の著作物の利用、掲示に関する論点の 修正
・国境を越えた商標権行使 に関する論点の追加・修正
・法改正、新たな裁判例への対応、その他軽微な修正

2007年05月10日

戸籍法の一部を改正する法律案が成立

 戸籍法の一部を改正する法律案(閣法第59号)が平成19年3月6日に国会提出され、成立しております。その改正趣旨は、戸籍に記載された個人情報を保護するため、戸籍の公開制度を見直し、戸籍の謄抄本等の交付の請求をすることができる場合を制限するとともに、当該請求をする者の本人確認、不正に交付を受けた者の処罰等を行い、また、戸籍の真実性を担保するため、届出の受理の通知手続等を定めるなど戸籍の制度について所要の整備を行う必要があるというものです。

法律案要綱

第一  戸籍の謄本等の交付請求
 一  交付請求
  1  戸籍に記載されている者等による請求
   (一)  戸籍に記載されている者又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができるものとすること。(第十条第一項関係)
   (二)  市町村長は、(一)の請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができるものとすること。(第十条第二項関係)
  2  第三者請求等
   (一)  第三者請求
 1(一)に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができるものとすること。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならないものとすること。(第十条の二第一項関係)
    (1)  自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由
    (2)  国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由
    (3)  (1)及び(2)に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由
   (二)  公用請求
 (一)にかかわらず、国又は地方公共団体の機関は、法令の定める事務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができるものとすること。この場合において、当該請求の任に当たる権限を有する職員は、その官職、当該事務の種類及び根拠となる法令の条項並びに戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならないものとすること。(第十条の二第二項関係)
   (三)  弁護士等による請求
    (1)  (一)にかかわらず、弁護士(弁護士法人を含む。)、司法書士(司法書士法人を含む。)、土地家屋調査士(土地家屋調査士法人を含む。)、税理士(税理士法人を含む。)、社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。)、弁理士(特許業務法人を含む。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法人を含む。)は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができるものとすること。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該業務の種類、当該事件又は事務の依頼者の氏名又は名称及び当該依頼者についての(一)に定める事項を明らかにしてこれをしなければならないものとすること。(第十条の二第三項関係)
    (2)  (一)及び(1)の規定にかかわらず、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士又は弁理士は、受任している事件について紛争解決手続の代理業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができるものとすること。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該事件の種類、その業務として代理し又は代理しようとする手続及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならないものとすること。(第十条の二第四項関係)
    (3)  (一)及び(1)の規定にかかわらず、弁護士は、刑事に関する事件における弁護人としての業務等を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができるものとすること。この場合において、当該請求をする者は、弁護士の資格、これらの業務の別及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならないものとすること。(第十条の二第五項関係)
 二  本人確認等
  1  一の請求をする場合において、現に請求の任に当たっている者は、市町村長に対し、運転免許証を提示する方法その他の法務省令で定める方法により、当該請求の任に当たっている者を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を明らかにしなければならないものとすること。(第十条の三第一項関係)
  2  1の場合において、現に請求の任に当たっている者が、当該請求をする者(一の2の(二)の請求にあっては、請求の任に当たる権限を有する職員。以下「請求者」という。)の代理人であるときその他請求者と異なる者であるときは、当該請求の任に当たっている者は、市町村長に対し、法務省令で定める方法により、請求者の依頼又は法令の規定により当該請求の任に当たるものであることを明らかにする書面を提供しなければならないものとすること。(第十条の三第二項関係)
 三  資料の提供等
 市町村長は、一の2の請求がされた場合において、請求者が明らかにしなければならない事項が明らかにされていないと認めるときは、当該請求者に対し、必要な説明を求めることができるものとすること。(第十条の四関係)
 四  除かれた戸籍の謄本等の交付請求
 一から三までの規定は、除かれた戸籍の謄本若しくは抄本又は除かれた戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「除籍謄本等」という。)の交付の請求をする場合に準用するものとすること。(第十二条の二関係)
第二  戸籍の記載の真実性を担保するための措置
 一  届出の際の確認手続
 市町村長は、届出によって効力を生ずべき認知、縁組、離縁、婚姻又は離婚の届出(以下「縁組等の届出」という。)が市役所又は町村役場に出頭した者によってされる場合には、当該出頭した者を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す運転免許証その他の資料の提供又はこれらの事項についての説明を求めるものとすること。(第二十七条の二第一項関係)
 二  確認できなかった場合の措置
 市町村長は、縁組等の届出があった場合において、届出事件の本人のうちに、一の規定による措置によっては市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを確認することができない者があるときは、当該縁組等の届出を受理した後遅滞なく、その者に対し、法務省令で定める方法により、当該縁組等の届出を受理したことを通知しなければならないものとすること。(第二十七条の二第二項関係)
 三  届出の不受理申出
  1  何人も、その本籍地の市町村長に対し、あらかじめ、法務省令で定める方法により、自らを届出事件の本人等とする縁組等の届出がされた場合であっても、自らが市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを一の規定による措置により確認することができないときは当該縁組等の届出を受理しないよう申し出ることができるものとすること。(第二十七条の二第三項関係)
  2  市町村長は、1の申出に係る縁組等の届出があった場合において、1の申出をした者が市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを一の規定による措置により確認することができなかったときは、当該縁組等の届出を受理することができないものとすること。(第二十七条の二第四項関係)
  3  市町村長は、2の規定により縁組等の届出を受理することができなかった場合は、遅滞なく、1の申出をした者に対し、法務省令で定める方法により、当該縁組等の届出があったことを通知しなければならないものとすること。(第二十七条の二第五項関係)
第三  その他
 一  死亡届の届出資格者の拡大
 死亡の届出は、後見人、保佐人、補助人及び任意後見人も、これをすることができるものとすること。(第八十七条第二項関係)
 二  磁気ディスクをもって調製された戸籍等への準用
 戸籍又は除かれた戸籍が磁気ディスクをもって調製されているときは、第一の一又は第一の四の請求は、戸籍謄本等又は除籍謄本等に代えて、磁気ディスクをもって調製された戸籍又は除かれた戸籍に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面についてすることができるものとすること。(第百二十条第一項関係)
 三  不服申立手続
  1  第一の一又は第一の四の請求、第四十八条第二項の規定による請求及び第三の二の請求について市町村長がした処分に不服がある者は、市役所又は町村役場の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができるものとすること。(第百二十四条関係)
  2  1の処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求の裁決を経た後でなければ、提起することができないものとすること。(第百二十五条関係)
 四  学術研究のための戸籍及び除かれた戸籍に関する情報提供
 市町村長又は法務局若しくは地方法務局の長は、法務省令で定める基準及び手続により、統計の作成又は学術研究であって、公益性が高く、かつ、その目的を達成するために戸籍若しくは除かれた戸籍に記載した事項又は届書その他市町村長の受理した書類に記載した事項に係る情報を利用する必要があると認められるもののため、その必要の限度においてこれらの情報を提供することができるものとすること。(第百二十六条関係)
 五  制裁の強化
  1  偽りその他不正の手段により、第一の一の戸籍謄本等、第一の四の除籍謄本等又は第三の二に規定する書面の交付を受けた者は、三十万円以下の罰金に処するものとすること。(第百三十三条関係)
  2  偽りその他不正の手段により、第四十八条第二項の規定による閲覧をし、又は証明書の交付を受けた者は、十万円以下の過料に処するものとすること。(第百三十四条関係)
  3  正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、五万円以下の過料に処するものとすること。(第百三十五条関係)
  4  市町村長が、第四十四条第一項又は第二項の規定によって、期間を定めて届出又は申請の催告をした場合に、正当な理由がなくてその期間内に届出又は申請をしない者は、十万円以下の過料に処するものとすること。(第百三十六条関係)
  5  正当な理由がなくて届出又は申請を受理しないとき等戸籍事件について職務を怠ったときは、市町村長を、十万円以下の過料に処するものとすること。(第百三十七条関係)
 五  施行期日
 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。(附則第一条関係)
 六  この法律による戸籍法に関する規定の整備等に伴い、所要の経過措置を講ずること(附則第二条及び第三条まで関係)
 七  関係法律について所要の規定の整備をすること。(附則第四条から第六条まで関係)