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2007年02月26日
 ■ 著作権に関する告知行為に関する不正競争防止法事件

 キューピーの著作物の帰属に関する係争に関連して、第三者が著作権を有しているという告知を行った事件につき、裁判所は、「不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知等する行為をいう。他人の営業上の信用を害するか否かは、対象となる文言のみならず、告知文書の他の部分や添付された文書の記述をも併せて読むことにより、全体として虚偽といえるかどうか検討すべきであり、告知文書の形式・趣旨、告知の経緯、告知文書の配布先の数・範囲、告知の相手方のその後の行動等の諸般の事情を総合して判断すべきである。そして、虚偽の事実であるか否かは、告知内容について告知の相手方の普通の注意と読み方・聞き方を基準として判断すべきである。よって、告知の相手方がどのような者であって、どの程度の予備知識を有していたか、当該告知がどのような状況で行われたか等の点を踏まえつつ、相手方が告知された事実につして真実と反するような誤解をするか否かによって決すべきである。」と判示した。
(判例タイムズ1228号330頁)

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2007年02月23日
 ■ 不執行の合意がある場合の強制執行排除事件

 公正証書に基づく債権差押事件において執行抗告した事件につき、最高裁は、「強制執行を受けた債務者が、その請求債権につき強制執行を行う権利の放棄又は不執行の合意があったことを主張して裁判所に強制執行の排除を求める場合には、執行抗告又は執行異議の方法によることはできず、請求異議の訴えによるべきものと解するのが相当である」と判示した。必要的に口頭弁論が開かれる請求異議の訴えの手続の方がふさわしいと判断されたものと思われる。
(判例時報1952号92頁)

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2007年02月19日
 ■ 「物上保証人に対する担保不動産競売手続を承継した代位弁済者の求償権の時効中断の有無(上)」 酒井廣幸弁護士

 「債権者が物上保証人に対して申し立てた不動産競売について、執行裁判所が競売開始決定をし、同決定正本が主債務者に送達された後に、主債務者から保証の委託を受けていた保証人が代位弁済をした上で、債権者から物上保証人に対する担保権の移転の付記登記を受け、差押債権者の承継を執行裁判所に申し出た場合には、上記承継の申出について主債務者に対して民法155条所定の通知がされなくても、次のとおり、上記代位弁済によって保証人が主債務者に対して取得する求償権の消滅時効は、上記承継の申出の時から上記不動産競売の手続の終了に至るまで中断する」と判示した最高裁(平成18年11月14日)についての解説がなされている。
(NBL850号38頁)

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2007年02月16日
 ■ 「進歩性に関する知財高裁判決の概観(1)」田中昌利弁護士・弁理士

 本稿は、知財高裁発足後1年の間に言い渡された審決取消訴訟における発明の進歩性判断について分析しているものである。
(判例タイムズ1227号39頁)

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2007年02月15日
 ■ 特許権侵害に関する警告書の送付が違法とされた事件

 警告書の送付行為が問題となった事案につき、裁判所は、「特許権侵害について、事前の事実的、法律的調査が不十分なまま、警告書を送付するに至った場合については、当該不正競争行為について過失が認められるべきであるし、また、競業者の取引先に対する警告等が、特許権者の権利行使の一環としての外形をとりながらも、その目的が競業者の信用を毀損して特許権者が市場において優位に立つことにあり、その内容、態様等において社会通念上必要と認められる範囲を超えたものとなっている場合などには、当該不正競争行為について、故意ないしは少なくとも過失が認められ得るものというべきである」と判示した。
(判例時報1951号106頁)

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2007年02月05日
 ■ 法律解説書著作権事件

 法律解説書に関する著作権侵害が争われた事件につき、裁判所は、著作物に関する創作性につき、「厳密な意味で創作性が発揮されたものであることは必要ではなく、筆者の何らかの個性が表現されたもので足りるというべきであるが、他方、文章自体がごく短く又は表現上制約があるため他の表現が想定できない場合や、表現が平凡かつありふれたものである場合には、筆者の個性が表現されたものとはいえないから、創作的な表現であるということはできない」という一般論を展開した上で、本件事案につき、「法令の内容に従って整理したにすぎない図表については、誰が作成しても同じような表現にならざるを得ない」「ある法律問題に関する筆者の見解又は一般的な見解である場合は、思想なししアイデアにおける同一性を有するにすぎず、思想又は感情を創作的に表現した部分において同一性を有するとはいえない」等と判示し、原告の請求の一部についてのみ認容した。
(判例時報1950号147頁)

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