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2005年11月30日
 ■ 「私的整理に関するガイドライン」の評価と今後の課題 私的整理に関するガイドライン研究会事務局

現在の私的整理に関するガイドラインにつき、金融支援方法の多様化を反映、政府系金融機関のガイドラインへの参加の位置付け、中小企業に対する第度ラインの適用など手当等が必要であると論じている。
(金融法務事情1755号34頁)

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2005年11月28日
 ■ 知的財産権の侵害警告と「正当な権利行使」ー近時の裁判例についてー 瀬川信久教授

最近の裁判例では、広く「正当な権利行使」の場合に警告者の責任を否定するケースが多いが、権利の無効、非侵害についての認識可能性を問うことなく警告者の責任を否定できるのは、(1)問い合わせ型、(2)司法手続に随伴する中止要求型、(3)中止要求型だが被警告者の適正な判断を侵害しない場合に限られるべきであると論じている。
(知的財産法政策学研究 第9号 111頁)

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2005年11月27日
 ■ 配当金全額加入事件

担保権を実行する場合、実務的には印紙代等の節約のためいわゆる一部請求のような記載を行うことが多かったが、本判決は、そのような場合においても、被担保債権全額につき配当加入が認められると判示したものであり、これによって実務処理の明確化がなされたと言いうる。
「原審は,この記載は上告人が被担保債権である本件手形貸付債権のうち8億円の範囲で本件根抵当権の実行を申し立てる趣旨であると解した。しかし,先に述べた本件申立書(添付の不動産登記簿謄本を含む。)の全体の記載の中で上記「被担保債権及び請求債権」の部分の文言を見れば,同部分の記載は,被担保債権である本件手形貸付債権のうち8億円の範囲に限って本件根抵当権の実行を申し立てる趣旨のものとは解し難く,本件手形貸付債権の全部について本件根抵当権を実行し,本件手形貸付債権の全部を配当額の計算の基礎とした上で,本件手形貸付債権のうち「下記記載の順序にしたがい」8億円に満つるまでの配当を請求すること,換言すると,8億円までの範囲で配当を請求することを示す趣旨のものと解するのが相当である。」「本件申立てにおいて本件根抵当権の実行の基礎とされた被担保債権は,本件手形貸付債権の全部であるというべきであり,本件申立てに係る競売事件における配当額の計算の基礎となる上告人の債権額は,本件手形貸付債権の額とすべきである。」
最高裁HP(平成15年(受)第278号 配当異議事件)

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2005年11月24日
 ■ 販売管理システム瑕疵担保責任事件

原告は、ハードウェア及び周辺装置の販売等を行う会社であるが、システム開発を請け負ったソフトウェア開発等を行う被告に対し、「重大な瑕疵」があるとして、損害賠償を求めた事案である。
裁判所は、「前記各不具合が、被告によって修正されたとは評価できず、また、システム設計の根本的な構造自体を修正するものであって、容易に修正できる軽微な瑕疵であるとは到底言えない。したがって、本件各不具合のうち、少なくとも一括在庫引当処理及び排他制御の問題については、これをもって、およそ被告が、原告に対し、システムを納入していないとまでいえるかはともかくとして、契約の目的を達成することのできない重大な瑕疵に該当するというべきである」として、原告の請求額金4074万9176円のうち、金3258万9200円の請求を認めた。
(判例時報1905号94頁)

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2005年11月18日
 ■ 米国における不可欠施設理論の現在 飯田浩隆氏

「不可欠施設理論」(Essential Facilities Doctrine)(ある事業に不可欠な施設を保有する者は競争者に対して平等かつ合理的な条件でその施設を提供しなければならず、提供拒絶は競争法違反となるという理論)についての解説がなされている。電話回線網、空港施設、パソコンOSなどの規制に関係するテーマである。
米国の2004年トリンコ最高裁判決は、この理論を認容も否定もしないと判示し、単独の取引拒絶は原則適法とし、(投資インセンティブの確保を目的とするものではない)競争者の排除のみを目的とする取引拒絶のみ例外的に違法になるとした。
(NBL821号35頁)

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2005年11月16日
 ■ 家電量販店安売り表示事件

?ヤマダ電機が?コジマに対して、コジマが「当店は、ヤマダ電機よりも安くします」という宣言文句を用いたことにつき、景品表示法違反当を理由に損害賠償請求等を行った事件であるが、東京高裁(平成16年10月19日)は、「被控訴人の店舗で販売される全ての商品についてその店頭表示価格が控訴人の店舗よりも必ず安いとか、被控訴人の値引後価格は必ず控訴人のそれよりも安くなるという確定的な認識を抱く者の数は、それほど多くないと考えられる」「『一般消費者』の誤認を生ぜしめるものとはいえない」として、景品表示法4条2号に該当するとは言えないなどと判示し、控訴人(原告)の請求を棄却した。
(判例時報1904号128頁)

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2005年11月15日
 ■ 「偏光フィルム」特許事件

本件は、携帯電話の画面などに使われる「偏光フィルム」の製造法に関するいわゆるパラメータ特許について、明細書のいわゆるサポート要件ないし実施可能要件の適合性の有無等が争われたものであるが、知財高裁合議部は、「本件明細書の発明の詳細な説明におけるこのような記載だけでは,本件出願時の技術常識を参酌して,当該数式が示す範囲内であれば,所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に,具体例を開示して記載しているとはいえず,本件明細書の特許請求の範囲の本件請求項1の記載が,明細書のサポート要件に適合するということはできない」と判示した。
最高裁サイト(平成17年11月11日判決)
平成17年(行ケ)第10042号 特許取消決定取消請求事件

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2005年11月08日
 ■ 営業秘密の刑事罰における保護 山口厚教授

不正競争防止法の改正法が本年6月成立し、11月1日より施行されています。
本記事では、これまでの不正競争防止法の改正経緯について概観しつつ、今回の刑事罰規定の拡充(?国外での行為についての規制、?退職者による行為についての規制、?法人に対する刑罰)についての解説がなされている。
(NBL820号12頁)

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2005年11月07日
 ■ 事務ガイドラインの一部改正ー貸金業者の取引履歴開示義務の明確化ー(金融庁監督局)

貸金業者には取引履歴の開示義務があるとした最高裁判決(平成17年7月19日)を踏まえ、貸金業関係の事務ガイドラインが一部改正され、本年11月14日より適用されることになった点の解説がなされている。
弁護士によるいわゆる受任通知についても、その通知上に顧客等にかかる本人確認情報が十分に記載されている場合には、改めて委任関係を示す書類は必要なく、代理人本人についても本人確認のための書類(印鑑証明書等)等の提示は必要ないとされている。
(金融法務事情1754号47頁)

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2005年11月02日
 ■ ビリング業務に用いられるコンピュータプログラムの貸与権侵害と被貸与者の不当利得(泉克幸助教授)

貸与権侵害が認められた東京地裁平成16年6月18日判決について、貸与権侵害による共同不法行為の成立を認めればよく、不当利得返還請求を認める必要があったとは思われないとの評釈がなされている。
(判例時報1903号206頁)

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2005年11月01日
 ■ ソフトウェアの法的保護とイノベーションの促進に関する研究会中間論点整理

「ソフトウェアの法的保護とイノベーションの促進に関する研究会」中間論点整理の公表について(2005年10月11日)が発表されている。
http://www.it-patent.jp/news/meti_0510.pdf
「多層レイヤー構造、コミュニケート構造、ユーザーのロックイン傾向を有するソフトウェア分野においては、特許権の付与により強すぎる独占権が発生している可能性があり、競争阻害によるイノベーション減退効果が生じやすい。」とされているが、実証的な分析、具体的な検討が不可欠であろう。

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