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2006年11月22日
 ■ プリペイドカードシステム契約不履行事件

 国際電話用のプリペイドカードシステムにつき原被告間にて採用する協議が行われていた事案につき、裁判所は、「契約締結権限を有する被告国際電話サービス部において、覚書の記載ないし覚書締結の趣旨に従い、本件カードサービスの開始に当たっての障害たる技術的問題が解消されたとの認識の下で本件カードサービスの開始決定を対外的に明らかにしたのであるから、遅くとも平成13年6月15日に本件カードサービスの開始を通知し、準備を指示した時点で、被告において平成13年7月5日に本件カードサービスを開始するとの合意が原被告間でなされ、同債務が被告に生じたというべきである」と判示した。所謂「契約締結上の過失」の問題ではなく、契約の成立が認定された事案である。
(判例時報1943号46頁)

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2006年11月20日
 ■ 「債権管理回収の基礎知識 第5回 担保不動産競売」 古賀政治弁護士

 短期賃貸借保護制度が廃止され、そのかわり抵当建物使用者は代金納付後6ヶ月の間明渡の猶予を受けることができるようになった建物明渡猶予制度(平成15年改正)について論じられている。建物使用期間における使用対価支払義務は法定されているものの、その間の占有減価については行うべきではないと論じられている。
(NBL845号28頁)

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2006年11月17日
 ■ 「自動車の所有権留保販売と買主の倒産」 大阪大学吉田光碩

 自動車の所有権留保売買において買主に民事再生の手続が開始された事例につき、東京地裁(平成18年3月28日)が「原告は、再生手続によらないで、担保権本来の実行方法により、別除権を行使することができ、本件においては、被告会社に対して本件各自動車の引渡しを求めることができる」と判示した裁判例を紹介している。その上で、一応取戻権を承認した上で、民事再生・会社更生にあっては場合によってその取戻し(=所有権留保の実行)を中止命令(民事再生法31条、会社更生法25条1項)でコントロールする方向が採られるべきであろうという道垣内教授の学説を紹介されている。
(金融法務事情1786号4頁)

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2006年11月16日
 ■ 「M&A等における知的財産権リスクについて」 弁護士早稲田祐美子

 M&Aにおいて、知的財産権の存在、権利範囲、存続期間、対抗要件、ライセンス条件等を確認するデュー・ディリジェンスが必要であるが、後日、裁判等で特許が無効とされる場合もあることが指摘されている。また、包括クロスライセンスの相手方企業がライバル企業と合併するなどのケースも考えられるため、包括クロスライセンス契約においては、change of control(支配権移動)条項、すなわち相手方の支配権の変動があった場合、契約解除できるという条項を入れておく必要があることなどが指摘されている。
(NBL844号7頁)

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2006年11月14日
 ■ 信用協同組合の商人性(商法適用の有無)

 「中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合は、今日、その事業の範囲はかなり拡張されてきているとはいえ、なお組合員の事業・家計の助成を図ることを目的とする共同組織であるとの性格に基本的な変更はないとみるべきであって、その業務は営利を目的とするものではないというべきであるから、商法上の商人には当たらないと解するのが相当」である。
(判例タイムズ1220号143頁)

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2006年11月07日
 ■ 商法26条1項の類推適用が否定された事例

 「本件は、これらの判決例とは異なり、譲渡人である訴外会社の商号は「ヌギートレーディング株式会社」であり、屋号は「ザ・クロゼット」であるから、屋号が商号の重要な構成部分を内容としているとの要件を充足しないことは明らかである。よって、原告が引用する判決例のように、商法26条1項を類推適用して、被告の弁済責任を肯定することはできない。」
(判例時報1940号158頁)

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2006年11月04日
 ■ 「弁護士照会と個人データの第三者提供 弁護士二村浩一

 銀行に対し、弁護士法23条の2に基づく照会がなされた場合の対応につき、「弁護士照会に応じて顧客の個人データを提供することは、法令に基づき個人データを提供する場合であるから、法の定める個人データの第三者提供の制限の違反とはならないが、金融機関は顧客に対して守秘義務を負担しており、取引に関連して知った、公開されていない顧客の情報は、正当な理由なく第三者に明らかにすることはできない」と説明されている。(金融法務事情1785号24頁)

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