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2007年11月12日
 ■ キャノン・インクタンク事件(消尽論)

平成19年11月8日最高裁判決

「‥該特許製品が製品としての本来の耐用期間を経過してその効用を終えた後に再使用又は再生利用がされた場合(第1類型),又は,当該特許製品につき第三者により特許製品中の特許発明の本質的部分を構成する部材の全部又は一部につき加工又は交換がされた場合(第2類型)には,特許権は消尽せず,特許権者は,当該特許製品について権利行使をすることが許されるものと解するのが相当である。」「また,我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において特許製品を譲渡した場合,特許権者は,譲受人に対しては,当該特許製品について販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨の合意をしたときを除き,譲受人から当該特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しては,譲受人との間でその旨の合意をした上で当該特許製品にこれを明確に表示したときを除き,当該特許製品を我が国に輸入し,国内で使用,譲渡等する行為に対して特許権に基づく権利行使をすることはできないというべきである(前掲最高裁平成9年7月1日第三小法廷判決)。しかしながら,‥該特許製品が製品としての本来の耐用期間を経過してその効用を終えた後に再使用又は再生利用がされた場合(第1類型),又は,当該特許製品につき第三者により特許製品中の特許発明の本質的部分を構成する部材の全部又は一部につき加工又は交換がされた場合(第2類型)には,特許権者は,当該特許製品について権利行使をすることが許されるものと解するのが相当である。」
「特許権の消尽により特許権の行使が制限される対象となるのは,飽くまで特許権者等が我が国において譲渡した特許製品そのものに限られるものであるから,特許権者等が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ,それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,特許権を行使することが許されるというべきである。そして,上記にいう特許製品の新たな製造に当たるかどうかについては,当該特許製品の属性,特許発明の内容,加工及び部材の交換の態様のほか,取引の実情等も総合考慮して判断するのが相当であり,当該特許製品の属性としては,製品の機能,構造及び材質,用途,耐用期間,使用態様が,加工及び部材の交換の態様としては,加工等がされた際の当該特許製品の状態,加工の内容及び程度,交換された部材の耐用期間,当該部材の特許製品中における技術的機能及び経済的価値が考慮の対象となるというべきである。」
「我が国の特許権者等が国外において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ,それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,我が国において特許権を行使することが許されるというべきである。そして,上記にいう特許製品の新たな製造に当たるかどうかについては,特許権者等が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合と同一の基準に従って判断するのが相当である。」
「したがって,特許権者等が我が国において譲渡し,又は我が国の特許権者等が国外において譲渡した特許製品である被上告人製品の使用済みインクタンク本体を利用して製品化された上告人製品については,本件特許権の行使が制限される対象となるものではないから,本件特許権の特許権者である被上告人は,本件特許権に基づいてその輸入,販売等の差止め及び廃棄を求めることができるというべきである。」

(最高裁HP)

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