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2006年12月22日
 ■ ロケーションフリーTVを使った「まねきTV]事件

 ソニー製のロケーションフリーTVの構成機器であるベースステーションを用い、ユーザーがインターネットを通じてテレビ番組を視聴できるようにした、そのサービス提供会社に対し送信可能化権の侵害といえるかどうか争われた事件につき、東京地裁は、「特定の一主体に送信しているといざわるを得ないから」「本件サービスのおける個々のベースステーションは、『自動公衆送信装置』に当たらず、債務者の行為は、著作権法2条1項9号の5に規定する送信可能化行為に当たらないというべきである」と判示し、債権者の仮処分申請を認めなかったものである。
(判例時報1945号95頁)

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2006年12月18日
 ■ プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求が認められた事件

 「本件各書込みが、原告の名誉を毀損し、その権利を侵害していることは明白というべきであるから、違法性阻却事由の主張立証責任が原告にあると解するとしても、被告は、本件各書込みに係る発信者情報を開示する義務を負う」として開示請求は認めたものの、「被告としては、、、本件発信者情報を開示ができるか慎重に検討した上で、原告に開示しなかったということができ、被告が本件発信者情報を開示しなかったことについて、過失があったかどうかは格別、重過失があったとはまでは認められない」と判示し、損害賠償責任については否定した。
(判例タイムズ1222号207頁)

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2006年12月11日
 ■ 特許権を侵害する旨の文書の送付が違法であるとされた事件

 「被告が、原告の取引先である・・・に被告文書を送付した行為は、・・・その告知行為が特許権者の権利行使の一環としての外形をとりながらも、競業者の信用を毀損して特許権者が市場において優位に立つことを目的とし、その態様も社会通念上不相当であって、権利行使の範囲を逸脱するものというべきであるから、違法性は阻却されず、競争関係にある原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知又は流布する行為に当たるというべきである。よって、被告文書の送付行為は、不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為に該当する」。
(判例時報1944号139頁)

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2006年12月04日
 ■ 就業時間中の私的メールのやりとりが懲戒の対象になるか争われた事件

 従業員が就業時間中に私的メールの交信を行ったり、チャットを利用したり、他の従業員に対し、参加を呼びかけた事案につき、札幌地裁は、「いずれも業務用パソコンを私的に利用した行為であり、他の職員にチャットの利用を誘ったことのほか就業時間内の外部者とのチャット交信などその行為は悪質であり、職場規律・企業秩序の点からも軽視できないものであるから、規程27条2項(物品の私用禁止)に該当するというべきである」と判断したが、本件「減給処分は、懲戒処分としての合理性に乏しく、社会通念上重すぎて不当というべきであって、懲戒権の濫用として無効である」と判示した。
(判例タイムズ1221号271頁)

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