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2005年11月27日

配当金全額加入事件

担保権を実行する場合、実務的には印紙代等の節約のためいわゆる一部請求のような記載を行うことが多かったが、本判決は、そのような場合においても、被担保債権全額につき配当加入が認められると判示したものであり、これによって実務処理の明確化がなされたと言いうる。
「原審は,この記載は上告人が被担保債権である本件手形貸付債権のうち8億円の範囲で本件根抵当権の実行を申し立てる趣旨であると解した。しかし,先に述べた本件申立書(添付の不動産登記簿謄本を含む。)の全体の記載の中で上記「被担保債権及び請求債権」の部分の文言を見れば,同部分の記載は,被担保債権である本件手形貸付債権のうち8億円の範囲に限って本件根抵当権の実行を申し立てる趣旨のものとは解し難く,本件手形貸付債権の全部について本件根抵当権を実行し,本件手形貸付債権の全部を配当額の計算の基礎とした上で,本件手形貸付債権のうち「下記記載の順序にしたがい」8億円に満つるまでの配当を請求すること,換言すると,8億円までの範囲で配当を請求することを示す趣旨のものと解するのが相当である。」「本件申立てにおいて本件根抵当権の実行の基礎とされた被担保債権は,本件手形貸付債権の全部であるというべきであり,本件申立てに係る競売事件における配当額の計算の基礎となる上告人の債権額は,本件手形貸付債権の額とすべきである。」
最高裁HP(平成15年(受)第278号 配当異議事件)