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2012年08月05日

スルガ銀行vs日本IBM事件の判決内容

東京地裁(第14民事部合議はA係)平成24年3月29日判決
 平成20年(ワ)第5320号損害賠償請求事件
 平成20年(ワ)第24303号請負代金等請求反訴事件
 (口頭弁論終結日 平成23年10月31日)

【主文】
 本訴被告は、本訴原告に対し、74億1366万6128円及びこれに対する平成19年7月18日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。


【本件事案の概要】
 原告が被告に対し、ヾ靄楾膂佞篷楫鏝鎚矛戚鵑亡陲鼎本質的義務に従って履行すべき義務があったにもかかわらず、債務の本旨に従った履行をしなかった、∨楫錺廛蹈献Дトが中止に至ったのは、被告にプロジェクト・マネジメント義務違反があった、説明義務違反があったとして、損害賠償を求めた事案。

【主たる争点】
 (1) 本件本質的義務の法的拘束力及びその不履行の有無
 (2) 本件プロジェクト中止の原因及びその責任の所在
 (3) 本件個別契約の債務不履行解除の成否
 (4) 説明義務違反の有無
 (5) 錯誤の有無
 (6) 原告の損害
 (7) 反訴請求の可否

【判示内容】
「原告は、被告はシステム開発業者として、自らが有する高度の専門的知識と経験に基づき、納入期限までにシステムを完成させるようにユーザに提示し、ユーザとの間で合意された開発手段や開発手法、作業工程等に従って開発作業を進めるとともに、常に進捗状況を管理し、開発作業を阻害する要因の発見に努め、これを適切に対処すべき義務やユーザのシステム開発への関わりについても適切に対処すべき義務や、ユーザのシステム開発への関わりについても適切に管理するなどの行為をなすべき義務(プロジェクト・マネジメント義務)を負っていたにもかかわらず、この義務を尽くさなかったものであり、被告が○○に関する知識に乏しく、開発工程が混迷を極め、結局、○○による開発を断念せざるを得なくなったために頓挫したものである」

「被告は、本件システム開発を開始するに当たり、○○の機能や充足度、その適切な開発方法等についてあらかじめ十分に検証又は検討したものとはいえないし、また、本件システム開発を進行するに際し、適切な開発方法を採用したものということはできない」

「難易度の高い作業であって、カスタマイズに関する作業量、作業時間、費用が一般的にかなり大きなものとなるため、カスタマイズ作業を適切に実施できる体制が整えられているか否かがプロジェクトの成否に直結する重要なポイントであるというべきである」

「被告がこのように合意したサービスインの時期すら遵守することができず、サービスインがそこから大幅に遅れる見通し(○○の時期からは2年、○○からも1年以上の遅れ)となってしまうことについては、ユーザである原告にとって容易に受け入れ難いものであることは明らかである」

「原告としては、本件最終合意が締結された時点において、被告が提案した開発手法に従ったシステム開発に問題があるとは認識していなかったし、本件最終合意書で定められた原告の支払金額には相応の根拠があると信頼していたものというべきである」

「このような被告の対応は、原告に対し、信義に反するものであるとの不信感を抱かせるもの」

「2年半以上の間、多額の費用と多大な労力をかけて本件プロジェクトを進めてきたものである」

「本件システム開発が頓挫したことの責任はもっぱら被告にあるのであり、そのことについて被告は原告に対してプロジェクト・マネジメント義務違反の責任を負うものというべきである。」