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2015年06月22日

プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する最高裁判決

プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する最高裁判決

 本年6月5日、プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する知財高裁大合議判決を破棄する判決が下されました。

 「願書に添付した特許請求の範囲の記載は,これに基づいて,特許発明の技術的範囲が定められ(特許法70条1項),かつ,同法29条等所定の特許の要件について審査する前提となる特許出願に係る発明の要旨が認定される(最高裁昭和62年(行ツ)第3号平成3年3月8日第二小法廷判決・民集第45巻3号123頁参照)という役割を有しているものである。そして,特許は,物の発明,方法の発明又は物を生産する方法の発明についてされるところ,特許が物の発明についてされている場合には,その特許権の効力は,当該物と構造,特性等が同一である物であれば,その製造方法にかかわらず及ぶこととなる。したがって,物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても,その発明の要旨は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として認定されるものと解するのが相当である。」
 「物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において,そのような特許請求の範囲の記載を一般的に許容しつつ,その発明の要旨は,原則として,特許請求の範囲に記載された製造方法により製造された物に限定して認定されるべきものとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。」

 いわゆる物質同一説の立場を取ったものと理解できることから、今後の知財実務に与える影響はかなり大きいと思われます。