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2012年06月27日

2012年著作権法改正(違法ダウンロードへの罰則化)

 2012年6月20日、違法ダウンロードへの刑事罰導入を盛り込んだ著作権法改正案が可決、成立した。同年10月1日に施行される予定で、違法にアップロードされた音楽ファイル、ソフトウェア、映画、動画などをダウンロードする行為に対し、2年以下の懲役または200万円以下の罰金(親告罪)が科されることになった。
 また、今回の改正法では、映画DVDなどをハードディスクにコピーするいわゆる「リッピング」も違法行為として規制する。

 これまでネット上で違法コピーが蔓延し、音楽、ソフトウェア、映画、動画などの著作権者の権利が十分に守られず、経済的損失を与えているばかりか、創作へのインセンティブ、開発意欲を削ぎ、投下資本の回収が困難になるため、投資に躊躇せざるを得ない問題があった。また、違法コピーを利用することは、我々市民の遵法精神を鈍磨させてしまう麻薬的な負の効果も看過できないものであった。そのための改正であり、額に汗して努力した者が報われる社会、正直者が馬鹿を見ない社会が公正な社会であると言えよう。

 ただ、我々市民の立場から見れば、違法ダウンロードへの刑罰化については若干躊躇を覚える部分があり、行き過ぎた刑罰権の行使がなされないよう見守っていく必要がある。昨今のネット上には、合法的なコンテンツと違法なコンテンツがいわば混在していると言える部分があり、利用者には容易に判断できない事情が存する。また、通常、ダウンロードは自宅のPCで行われることが多く、捜査の範囲が安易に私生活に入り込んでいかないよう注意していく必要があろう。