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2007年02月05日

法律解説書著作権事件

 法律解説書に関する著作権侵害が争われた事件につき、裁判所は、著作物に関する創作性につき、「厳密な意味で創作性が発揮されたものであることは必要ではなく、筆者の何らかの個性が表現されたもので足りるというべきであるが、他方、文章自体がごく短く又は表現上制約があるため他の表現が想定できない場合や、表現が平凡かつありふれたものである場合には、筆者の個性が表現されたものとはいえないから、創作的な表現であるということはできない」という一般論を展開した上で、本件事案につき、「法令の内容に従って整理したにすぎない図表については、誰が作成しても同じような表現にならざるを得ない」「ある法律問題に関する筆者の見解又は一般的な見解である場合は、思想なししアイデアにおける同一性を有するにすぎず、思想又は感情を創作的に表現した部分において同一性を有するとはいえない」等と判示し、原告の請求の一部についてのみ認容した。
(判例時報1950号147頁)