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2007年05月28日

外国語会話学校の中途解約精算金事件

平成19年4月3日最高裁判決(解約精算金請求事件)

「特定継続的役務提供契約の役務の対価を受領した役務提供事業者が、役務の提供を受ける者(以下「役務受領者」という。)による契約の解除に伴い、その受領金の額から提供された役務の対価に相当する額(以下「提供済役務対価相当額」という。)を控除した残額を返還する場合において、受領金の授受に際して役務の対価に単価が定められていたときは、役務提供事業者は、原則として、その単価によって提供済役務対価相当額を算定すべきであり、合理的な理由なくこれと異なる単価を用いることは、法49条2項の趣旨に反し許されない。本件清算規定は、それが契約時単価と異なる単価によって提供済役務対価相当額を算定すべきものとしていることに合理的な理由はないから、無効である。
 法49条1項は、特定継続的役務提供契約が締結された場合、役務受領者は、同項所定の期間を経過した後においては、将来に向かって当該契約の解除をすることができる旨を定め、同条2項1号は、特定継続的役務提供契約が役務の提供開始後に解除されたときは、役務提供事業者は、役務受領者に対し、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、提供済役務対価相当額と解除によって通常生ずる損害の額として政令で定める額(外国語会話教室に係る特定継続的役務の場合、5万円又は解除された契約に係る役務の対価の総額から提供済役務対価相当額を控除した額の100分の20に相当する額のいずれか低い額)を合算した額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額(以下、この金額を「法定限度額」という。)を超える額の金銭の支払を請求することができない旨を定めている。
 上告人は、本件使用済ポイントの対価額について、本件清算規定に従って算定すべきであると主張する。しかし、本件清算規定に従って算定される使用済ポイントの対価額は、契約時単価によって算定される使用済ポイントの対価額よりも常に高額となる。本件料金規定は、契約締結時において、将来提供される各役務について一律の対価額を定めているのであるから、それとは別に、解除があった場合にのみ適用される高額の対価額を定める本件清算規定は、実質的には、損害賠償額の予定又は違約金の定めとして機能するもので、上記各規定の趣旨に反して受講者による自由な解除権の行使を制約するものといわざるを得ない。」

(最高裁HP)