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2007年05月30日

銀行員が権限なく行った契約につき、顧客に重過失があるとされた事例

平成18年3月17日東京地裁判決

日本国内の外国銀行の行員が、権限無く考え出した架空金融商品の取引につき、裁判所は、原告は銀行との取引経験が豊富であると言えること、通常の金利の数倍から数千倍にも及ぶ高い金利が約束されていたこと、為替差損の危険がなかったことなどから、このような商品を銀行が通常取り扱うとは考えられないこと、各契約書は不自然かつ不正確な英語表記を含むものであったこと、原告が報酬名目で数千万円以上の金員を受け取っていたこと、Aの異動及び退職、Aの権限などについて、銀行に確認することが容易であったことなどの間接事実を認定し、「本件各定期預金契約に係る商品がAの考えた架空商品であって、被告の正規の商品ではないことを疑う能力を十分有し、かつ、この商品が被告の正規の商品か否かについて、被告に対して確認することは容易であったにもかかわらず、原告らは何らの確認をしなかったといわざるを得ないのであって、Aが権限を有しないことを原告らが知らなかったことについては、原告らに優に重大な過失があったと認められる」と判示し、原告らのよる預金返還請求を棄却したものである。

(判例タイムズ1236号237頁)