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2007年05月18日

建物占有者との明渡交渉業務につき、弁護士法違反が認定された事案

東京高裁平成19年4月26日判決

本件は、被控訴人が、控訴人から控訴人が競落した不動産に関し建物占有者の明渡し等の業務を請け負い、当該業務を完了したにもかかわらず、約定の請負代金のうち329万8485円が未払であるとして、控訴人に対し、同金員及びこれに対する平成13年8月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案であるが、裁判所は、「被控訴人が控訴人との間で本件契約を締結して前記の行為を行ったことは、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、業として、弁護士法第72条本文所定の法律事務を取り扱い、その周旋を行ったことに当たり、同条本文に違反するものといわざるを得ない。本件契約は、同条違反の法律事務の取扱いの根拠となるものであり、本件契約を有効とすることは、同条本文に違反する行為が繰り返されることを是認することにほかならない。したがって、本件契約は、同条本文に違反する事項を目的とする契約として民法第90条により無効であるというべきである。」として、被控訴人の請求を認めなかったものである。

(最高裁HP)