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2012年03月23日

「サトウの切り餅」特許権侵害事件

 平成24年3月22日、知財高裁において、佐藤食品工業蝓幣緇賁召蓮▲汽肇食品工業)に対し、約8億円の損害賠償等を命ずる判決が出された。

 本件については、既に平成23年9月7日、知財高裁において概ね下記のような中間判決が下されていたものである。

「被控訴人が製造,販売する別紙物件目録1ないし5記載の各食品は,控訴人が有する別紙特許目録記載の特許の特許請求の範囲の請求項1記載の発明の技術的範囲に属する。同特許は特許無効審判により無効にされるべきものとは認められない。」

「【請求項4】 焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅の載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に,この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け,この切り込み部又は溝部は,この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に一周連続させて角環状とした若しくは前記立直側面である側周表面の対向二側面に形成した切り込み部又は溝部として,焼き上げるに際して前記切り込み部又は溝部の上側が下側に対して持ち上がり,最中やサンドウイッチのように上下の焼板状部の間に膨化した中身がサンドされている状態に膨化変形することで膨化による外部への噴き出しを抑制するように構成したことを特徴とする餅。」
 「被告は,切餅の載置底面又は平坦上面に切り込み部が設けられた構成のものは,構成要件Dの「焼板状部」に該当する構成を有しないから,被告製品は構成要件Dを充足しない,と主張する。しかし,上記(1)のとおり,本件発明は,載置底面又は平坦上面に切り込み部等を設ける構成を除外するものであるとは解されない。また,切餅の載置底面又は平坦上面に切り込み部が設けられていると,焼き上げられるに際して,上記切り込み部において若干の膨化変形が生じるとしても,構成要件Dの「焼板状部」に当たると解するのが合理的である。したがって,被告の上記主張は採用することができない。」
 「以上によれば,被告製品(別紙物件目録1ないし5)は本件発明の構成要件をすべて充足し,本件発明の技術的範囲に属するものであり,本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものとは認められない。」

 被控訴人の製品において、切餅の載置底面又は平坦上面に切り込み部が設けられたとしても、およそ新たな要件を付加したに過ぎないと思われるため、構成要件該当性は認められるとした妥当ではないだろうか。