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2012年02月21日

「チュッパチャプス」商標事件

平成24年2月14日知財高裁 「チュッパチャプス」事件

 ネット通販のためのウェブ運営者が商標権侵害の責任を負う可能性があることを判示した裁判例であり、今後、ウェブ・ビジネスにおいて注意しておくべきである。

 「ウェブページの運営者が,単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を整備するにとどまらず,運営システムの提供・出店者からの出店申込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等の管理・支配を行い,出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であって,その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは,その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り,上記期間経過後から商標権者はウェブページの運営者に対し,商標権侵害を理由に,出店者に対するのと同様の差止請求と損害賠償請求をすることができると解するのが相当である」

 「もっとも商標法は,その第37条で侵害とみなす行為を法定しているが,商標権は「指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する」権利であり(同法25条),商標権者は「自己の商標権・・・を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる」(同法36条1項)のであるから,侵害者が商標法2条3項に規定する「使用」をしている場合に限らず,社会的・経済的な観点から行為の主体を検討することも可能というべきであり,商標法が,間接侵害に関する上記明文規定(同法37条)を置いているからといって,商標権侵害となるのは上記明文規定に該当する場合に限られるとまで解する必要はないというべきである」

 「本件の事実関係の下では,一審被告による「楽天市場」の運営が一審原告の本件商標権を違法に侵害したとまでいうことはできないということになる」