« 賃貸借契約の更新料 | TOP | 「敷引特約」最高裁判決 »

2011年03月16日

「相続させる」旨の遺言と代襲相続

 遺言書に「相続させる」と記載することは一般的ですが、この遺言は、遺贈ではなく、遺産分割方法の指定であり、しかも被相続人の死亡により直ちに相続による承継の効果が発生し、遺産分割協議や審判を経る余地もないというのが確定した判決です(最高裁平成3年4月19日)。

 そして、平成23年2月22日、「相続させる」旨の遺言が作成されたが、名宛人とされた推定相続人が遺言者よりも先に死亡してしまった場合に代襲相続が発生するかどうかにつき、代襲相続否定説をとる立場を明らかにしました。これは、遺言者の通常の意思は遺言時における特定の推定相続人に対する承継意思を有するにとどまるはずであるという合理的意思解釈を論拠としています。

 今後、遺言書作成実務におきましては、代襲相続まで想定した周到な遺言文言を策定しておく必要があると言えます。