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2007年10月04日

三味線バチ「一枚甲」商標事件

三味線バチ「一枚甲」商標事件

三味線のバチのうち、べっ甲を2枚合わせたものではなく、一枚の厚いべっ甲を割いて作ったものを表す「一枚甲」の商標権侵害の有無が争われた事件につき、東京地裁は、「被告標章を構成している『一枚甲』との用語は、少なくとも被告標章が使用された始めた平成5年当時とそれ以降においては、三味線のバチに先付けするべっ甲の種類を表示するだけでなく、三味線のバチそのものの品質及びその原材料を表示する用語として使用されていた名称(標章)であると認めることができる。」「三味線のバチの品質ないし原材料を意味する用語として、価格表や広告などに『一枚甲』との用語が使用され始めたのが、原告による本件各商標権の登録出願時以降である昭和50年代半ばであるとしても、前記認定のとおり、遅くとも平成5年ころ以降には、『一枚甲』との用語は、三味線のバチの品質ないし原材料を意味する用語として使用されていたものと認められる以上、被告による被告標章の使用には本件各商標権の効力は及ばないというべきである。」と判事した。

(判例時報1974号171頁)