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2007年06月15日

特定贈与を受けた者と包括遺贈を受けた者との関係

大阪高裁平成18年8月29日判決

原告は、本件土地について贈与を受けたものであるが、本件土地の包括遺贈を受けた者に対して、贈与を原因とする所有権移転登記手続を求めた事案であるが、大阪高裁は、「被相続人の意思に基づく財産の処分である天で、包括遺贈は、特定遺贈と同じである。」「その効力が生前贈与などのように生前に発生するか、被相続人の死亡時に発生するかにかかわりなく、それに基づく物権変動の効力は、登記がされるまでは、いずれも未完成であり、登記がされれば、その時点で完成すると解するのが相当である。」「民法177条との関係では、包括遺贈による所有権の移転と特定遺贈による所有権の移転とを区別して考えることはできないというべきである」「包括遺贈による所有権の移転は、民法177条にいう『不動産に関する物権の得喪及び変更』に該当し、そのような物権変動を受けた他の者との関係では、対抗問題になり、原則として、包括遺贈を受けた者が民法177条にいう『第三者』に該当すると解すべきである」と判示した。

(判例時報1963号77頁)