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2007年03月26日

和解調書に基づく建物明渡請求が排除された事例

 離婚訴訟において成立した和解条項に基づく建物の明渡請求の本事案につき、裁判所は、「本件マンションの明渡しを受ける必要性が極めて少ないという事情があるにもかかわらず、他方で、原告の生活の本拠を奪い、当然の権利である慰謝料等の支払請求権について、原告に回収の見込みのない債務名義のみを残すことになるという、極めて不合理な結果が生ずることになる。」「そうすると、本件においては、被告の原告に対する本件和解条項に基づく強制執行は、もはや、自己の都合のみを優先し、原告に対して一方的に不当な結果を生ぜしめることを目的とするものであると推認すべきであって、著しく信義誠実の原則に反し、正当な権利行使の名に値しない不当なものと認めることが相当である」と判示した。
(判例タイムズ1230号335号)