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2007年03月27日

判例に学ぶ No.419」 野口恵三弁護士

 学校法人が新しい研究教育施設を建築する計画があり、下請業者が本件建具の設計納入に関する準備行為を行っていた事案につき、「原告(上告人)が本件建物の施工業者との間で本件建具の納入等の下請契約を確実に締結できるものと信頼して上記準備作業を開始したものであり、、、上記信頼に基づく行為によって原告が支出した費用を補てんするなどの代償的措置を講ずることなく被告が将来の収支に不安定な要因があることを理由として本件建物の建築計画を中止することは、原告の上記信頼を不当に損なうものというべきであり、被告は、これにより生じた原告の損害について不法行為による賠償責任を免れない」と判示した最高裁判決を紹介している。原審は、「いわゆる契約締結上の過失が問題となる場合、すなわち契約締結のための準備交渉段階において信義則が妥当する場合とは異なる」と判示したのであるが、最高裁の結論が妥当であると紹介されている。
(NBL853号55頁)