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2006年10月11日

矢沢永吉パチンコ機事件

 「本件パチンコ機の内容、その中における本件人物絵の位置付け及び使用の態様などからすると、被告平和は原告の顧客吸引力を用いる目的で本件パチンコ機に本件人物絵を使用したものとは認められず、また、現実にも原告の顧客吸引力の潜用あるいはその毀損が生じているとは認めがたい。人格的利益についても、本件においては、肖像権の対象となるような原告の容姿の写真、ビデオあるいは詳細な写実画が使用されたものではなく、使用された漫画絵である本件人物絵は、その制作に当たって原告の肖像のイメージはあったにせよ、原告との類似性はそれほど高くなく、またことさら醜悪あるいは滑稽に描かれておらず、さらにパチンコ遊技中に識別可能性に乏しいものであり、被告平和においても積極的に本件人物絵をパチンコ情報誌等に提供しているものではないことからすると、原告に対して法的な救済を必要とする人格的利益の侵害が生じているとは認められない」と判示した。
(判例タイムズ1217号310頁)