« 矢沢永吉パチンコ機事件 | TOP | 株式会社譲渡につき賃貸借の脱法的無断譲渡に該当しないとされた事例 »

2006年10月13日

全国八葉物流不当利得返還請求事件

 「本件各取引システムは、商品の連鎖販売取引を仮装しているが、その実質は法により刑罰をもって禁止されている無限連鎖講に当たる上に、早晩破綻することが必至であるにもかかわらず、その事実を隠蔽しつつ極めて高率の配当金等をもって新規会員を募るという著しく射幸性の強いもので、それ自体として強い反社会性を有するものと評価される」とした上で、「民法708条による不法原因給付者による返還請求が許されないとされるのは、自ら不法は給付をなした者が、当該違法行為を理由として法の保護を求めることの非難性に対する制裁の趣旨と解される。しかるところ、破産管財人は、破産債権者全体の利益を代表して、総債権者に公平な配当を行うことを目的として、破産者に帰属する財産について、破産者に代わって管理処分権を行使する独立の法主体であると解されるから、破産管財人が破産者の権利を行使する場合には、民法708条の趣旨は当てはまらないというべきであり、同条は適用されない」として、管財人の請求を認めたものである。
(判例時報1937号102頁)