他人の飼い犬による愛犬咬殺事件
名古屋地裁は、「被告のような高齢の女性が、J(雑種、オス、3歳)のような飼い犬を鎖につなごうとする際、飼い犬がその手をくぐり抜けるような事態が発生することは、予測可能な範囲内にあり、自宅の敷地の外に出たJが、他人の飼い犬や人に危害を加えることは起こりうる出来事であるから、、、注意を払わなければならなかったというべきである」「原告らには何らの落ち度なく、被告の一方的な過失により、原告らが家族の一員のように慈しんで育てていたR(ミニチュア・ダックス、オス、5歳)を被告の飼い犬であるJに咬殺されたこと、原告らが被った精神的苦痛は、そのことだけで非常に大きなものであったこと、原告はRの飼育に日常的に携わっており、溺愛していたこと、JがRを襲う場面を目の当たりにしていたこと、そのためRを救い得なかった呵責の念にさいなまれ、その思いをいまだに断ち切れないこと、原告自身がRを助けようとした際に負傷したことなどが認められる」として、合計66万9850円の慰謝料等の損害賠償責任を認めたものである。
(判例時報1935号109頁)