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2006年09月13日

ダスキン未認可添加物混入株主代表訴訟事件

 大阪高裁は、「現代の風潮として、消費者は食品の安全性については極めて敏感であり、企業に対して厳しい安全性確保の措置を求めている。未認可添加物が混入した違法な食品を、それと知りながら係属して販売したなどということになると、その食品添加物が実際に健康被害をもたらすおそれがあるかどうかにかかわらず、違法性を知りながら販売を継続したという事実だけで、当該食品販売会社の信頼性は大きく損なわれることにいなる。ましてや、その事実を隠ぺいしたなどということになると、その点について更に厳しい非難を受けることになるのは目に見えている。」「そのような事態を回避するために、そして、現に行われてしまった重大な違法行為によってダスキンが受ける企業としての信頼喪失の損害を最小限度に止める方策を積極的に検討することこそが、このとき経営者に求められていたことは明らかである。ところが、前記のように、一審被告らはそのための方策を取締役会で明示的に議論することもなく、「自ら積極的には公表しない」などというあいまいで、成り行き任せの方針を、手続き的にもあいまいなままに黙示的に事実上承認したものある。それは、到底、「経営判断」というに値しないものというしかない」と判示し、5億円を超える損害賠償を命じた。
(判例タイムズ1214号115頁)