債権回収についての取締役の任務懈怠の有無が争われた事件
本件控訴審は、?当該債権の存在を証明して勝訴し得る高度の蓋然性、?勝訴した場合の債権回収の確実性、?回収が期待できる利益が、そのために見込まれる諸費用等を上回ることが必要であるとし、さらに、?訴訟提起を行った場合に会社が現実に回収し得た具体的金額の立証も必要であるとした原審を是認したものである。
取締役は会社に対して善管注意義務を負っており、その内容として一定程度の勝訴の可能性のある案件については法的手続をとるべきであり、高度の蓋然性まで要求しているのはやや問題があるように思われる。
(判例タイムズ1208号290頁)