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2006年06月12日

破産会社のテレテキストビションシステム詐欺的商法事件

 テレビ、文字放送受信表示器等を組み合わせたテレビビジョンシステムの販売が詐欺的商法であると争われた事件につき、東京地裁は、「被告Yは、トータルネットの取締役(平成11年2月からは代表取締役)として本件システム事業を中心的に企画して実行していた者であり、被告Y自身、広告の獲得や、本件機器の広告配信のシステムの開発が当初想定していたように進展していなかったことを自認していたばかりか、本件機器の販売開始の当初から、定額の広告放映料の支払を約した上で、本件機器の販売を続けることは、本件機器の売上利益を広告放映料につぎ込み結果となり、「たこが自分の足を食う」に等しい経営状態となることを自認していたものである。そうすると、被告Yは、本件システム事業の開発当初から同事業の破綻が必至であることを予見しながら、あるいは少なくとも容易に認識することができたにもかかわらず、原価を大幅に上回る高額の販売代金を設定して本件機器の販売を続けていたものであるから、悪意又は重大な過失があり、商法266条の3第1項に基づき、その取締役在任中に本件機器の販売契約を締結した原告らに対して損害賠償責任を負うべきである」等と判示した。
本件は、詐欺的商法によるクレジット・リース利用者の被害に係る集団訴訟であり、取締役の責任を認めたことは、妥当な判断であると言えよう。
(判例タイムズ1207号217頁)