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2006年05月10日

チョコエッグ・フィギュア事件

 チョコレートの中にカプセルが入っている「チョコエッグ」と呼ばれる菓子についての著作権侵害が争われた事件である。裁判所は、「応用美術であっても、実用性や機能性とは別に、独立して美的鑑賞の対象となるだけの美術性を?するに至っているため、一定の美的感覚を備えた一般人を基準に、純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を具備していると評価される場合は、「美術の著作物」として、著作権法による保護の対象となる場合があるものと解するのが相当である」とし、本件動物フィギュアについて、「実際の動物の形状、色彩等を忠実に再現した模型であり、動物の姿勢、ポーズ等も、市販の図鑑等に収録された絵や写真に一般的に見られるものにすぎず、制作に当たった造形師が独自の解釈、アレンジを加えたというような事情は見当たらない」「制作者の個性が強く表出されているということはできず、その創作性は、さほど高くないといわざるを得ない」として、著作物には該当しないとしたが、本件妖怪フィギュアについては、「一定の美的感覚を備えた一般人を基準に、純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を具備していると評価されるものと認められるから、応用美術の著作物に該当する」と判示した。
(判例タイムズ1205号254頁)