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2006年05月01日

「弁護士法に基づく照会と金融機関の秘密保持義務 ー大阪地判平18.2.22の紹介ー」 鈴木秋夫弁護士

 いわゆるヤミ金業者からの借主が、相手方の正確な氏名、住所等を調査するためには、預金口座が開設されている金融機関に対して弁護士法23条の2に基づく照会請求を行うことが効果的ないし不可欠であるが、他方で、金融機関は顧客との間で秘密保持義務を負っているため、紹介請求に応じて情報を開示することが許されるかどうかが争われた事件についての解説である。
 「本判決の判断基準に従えば、今後、金融機関がいかなる要件のもとに顧客の特定に資する情報の開示を求める23条照会または調査嘱託に対して報告する義務を負うのかについての解釈及び金融実務における一定の運用基準が確立された場合には、金融機関が報告を拒否したことについて過失の存在が認定されることもあり得る」と論じられている。今後の判断にも注目されるところである。
(金融法務事情1769号26頁)