« 「判例に学ぶNo.409」 野口恵三弁護士 | TOP | 破産者が破産手続中に自由財産の中から破産債権に対して任意の弁済をすることの可否が争われた事例 »

2006年04月25日

企業買収(M&A)にける売主の表明、保証違反について売主が買主に対する損害補償義務を負うとされた事例

 原告は、企業買収(M&A)において、会計事務所に委任して二度にわたりデューディリジェンス(買収監査)を実施していたが、和解債権処理において水増し計上が認められた事案につき、東京地裁は、「原告が、本件株式譲渡契約締結時において、わずかの注意を払いさえすれば、本件和解債権処理を発見し、被告らが本件表明保証を行った事項に関して違反していることを知り得たにもかかわらず、漫然これに気付かないままに本件株式譲渡契約を締結した場合、すなわち、原告が被告らが本件表明保証を行った事項に関して違反していることについて善意であることが原告の重大な過失に基づくと認められる場合には、公平の見地に照らし、悪意の場合と同視し、被告らは本件表明保証責任を免れると解する余地がある」としたが、本件については、「原告が、わずかな注意を払いさえすれば、本件和解債権処理を発見し、被告らが本件表明保証を行った事項に関して違反していることを知り得たということはできない」と判示した。
(判例時報1920号136頁)