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2006年04月17日

架空請求の被害者が携帯電話のレンタル会社に対して損害賠償請求を行った事例

 架空請求の被害に遭った者が、脅迫等に使用された携帯電話のレンタル会社に対して損害賠償請求を行った事案につき、京都地裁は、「平成16年8月当時、既に、携帯電話を利用した架空請求詐欺を始めとする犯罪が蔓延し、社会問題化していたことが認められる。このような状況下においては、携帯電話事業により収益を得ている事業者としては、当該携帯電話事業が犯罪遂行手段を確保し、犯罪行為を援助、助長することのないよう、販売・レンタル等の営業方法について適正を期する義務を負うというべきである。これを本件についてみると、前記のとおり、被告会社は、本来匿名による取引を予定していない携帯電話レンタル契約に際し、「山本」とのみ名乗り、名前及び住所を明らかにしない顧客に対して、漫然と携帯電話のレンタルを行い、当該携帯電話が、タカギによる不法行為の遂行のための必須の手段として用いられていたことが認められ、このような場合には、被告会社は、顧客の住所氏名を確認すべき注意義務に違反し、タカギの不法行為に加担したものとして、民法719条により原告が被った損害を賠償すべき義務を負うと解するのが相当である」と判示し、原告の請求を認容した。
(判例時報1919号132頁)