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2005年12月16日

物上代位後の配当加入事件

不動産について第1順位と第3順位の根抵当権を有する債権者が当該不動産の賃料について物上代位による債権差押えを行い、取立てを行った後、担保権実行による競売事件において、「賃料の取立は第3順位の根抵当権に基づいて行ったものである」との主張がなされた事件である。
大阪高裁は、「1人の債権者が複数の根抵当権による物上代位に基づく債権差押えを行い、その被差押債権について他に競合する債権差押えがないため、取立が行われた場合に、差押債権者が根抵当権の被担保債権枠の順位を法定の順位と異なるように変更するような事態は予定していない」「手続が煩瑣になるおそれがあることなどを考慮すれば、控訴人指摘の事情をもって、自己決定による配当(弁済)順位の変更を認めるべき根拠とはなしえない」と判示し、上記主張を認めなかったものである。
(金融法務事情1757号35頁)