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2005年10月25日

「選撮見録」著作権等侵害事件

本件は、大阪市に所在するテレビ放送事業者である原告らが、被告が販売する別紙物件目録記載の商品(「選録見録」という名称のハードディスクビデオレコーダーシステム)が、原告らがテレビ番組の著作者として有する著作権(複製権及び公衆送信権)並びに原告らが放送事業者として有する著作隣接権(複製権及び送信可能化権)の侵害にもっぱら用いられるものであると主張し、上記各権利に基づいて、被告に対し、その商品の使用等及び販売の差止め並びに廃棄を請求した事案である。

大阪地裁は、著作権法にはいわゆる間接侵害規定がなく、「選録見録」の販売という「間接行為が、たとい直接行為と異ならない程度に権利侵害実現の現実的・具体的蓋然性を有する行為であったとしても、直ちにこれを、著作隣接権の侵害行為そのものであるということはできないから、被告商品の販売行為そのものを原告らの著作隣接権を侵害する行為とすることはできない。」しかし、「侵害行為の差止め請求との関係では、被告商品の販売行為を直接の侵害行為と同視し、その行為者を「著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれのある者」と同視することができるから、著作権法112条1項を類推して、その者に対し、その行為の差止めを求めることができるものと解するのが相当である。」

 著作権法規定の狭間となるようなケースにつき、112条の類推適用という手法によって新しい理論を示した判決と言えるでしょう。
H17.10.24 大阪地裁 平成17(ワ)488 著作権 民事訴訟事件(最高裁HP)