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2005年10月08日

記事見出し事件

インターネット向けに配信された記事の見出しが無断で使用されたとして読売新聞社がデジタルアライアアンス社を相手取って訴えていた事件で、10月6日、知的財産高裁は、営利目的で無断で反復使用することについて、創作性はないとして著作物性は否定したものの、「著作権法などで定めた厳格な意味での権利が侵害されなくても、民法709条の不法行為は成立する」と判示した。
法的保護利益が認められた事件として、自動車データベース事件(東京地裁平成14年3月28日、判例時報1793号133頁)においては、本件データベースの著作物性は否定したものの、「被告が本件データベースのデータを被告データベースに組み込んだ上,販売した行為は,取引における公正かつ自由な競争として許される範囲を甚だしく逸脱し,法的保護に値する原告の営業活動を侵害するものとして不法行為を構成するというべきである」と判示している。
同様に、オートくん事件(大阪地裁平成14年7月25日)においても、「他人のプログラムの著作物から、プログラムの表現として創作性を有する部分を除去し、誰が作成しても同一の表現とならざるを得ない帳票のみを抜き出してこれを複製し、もとのソフトウエアとは構造、機能、表現において同一性のないソフトウエアを製作することが、プログラムの著作物に対する複製権又は翻案権の侵害に当たるとはいえない・・・しかし、帳票部分も、・・・作成者がフォントやセル数についての試行錯誤を重ね、相当の労力及び費用をかけて作成したものであり、そのようにして作られた帳票部分をコピーして、作成者の販売地域と競合する地域で無償頒布する行為は、他人の労力及び資本投下により作成された商品の価値を低下させ、投下資本等の回収を困難ならしめるものであり、著しく不公正な手段を用いて他人の法的保護に値する営業活動上の利益を侵害するものとして、不法行為を構成する」と判示している。