« ライセンス契約におけるランセンシーの地位保全 | TOP | 継続的契約における更新拒絶 »

2007年09月05日

土地売主の瑕疵担保責任

かつて存在していた建物において殺人事件があった場合の土地売主の瑕疵担保責任

購入した土地上にかつて存在していた建物内で殺人事件があったことが判明した事例につき、大阪地裁は、「売買の目的物に民法570条の瑕疵があるというのは、その目的物が通常保有する性質を欠いていることをいい、目的物に物理的欠陥がある場合だけでなく、目的物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景に起因する心理的欠陥がある場合も含まれるものと解するのが相当である。」殺人事件は、「本件売買の約8年以上前」であり、建物が取り壊され、「もはや特定できない一空間内におけるものに変容していた」と言えるものの、「住民の記憶に少なからず残っているものと推測される」ので、「住み心地が良くなく、居住の用に適さないと感じることに合理性があると認められる程度の、嫌悪すべき心理的欠陥がなお存在するものというべきである」と判示し、本件売買代金額の5パーセント相当額を損害賠償と認めたものである。

(判例時報1971号130頁)