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2007年07月11日

取締役の善管注意義務違反が問題となった事例

平成18年11月9日東京地裁判決

取締役が締結したコンサルティング契約及び調査委託契約の是非が問われた事案につき、裁判所は、「いわゆる経営判断にほかならないから、今後の事業展開の前提となる調査分析又は事業展開のための広報活動を目的とするコンサルティング契約の締結及び報酬の支払に係る取締役の判断の適法性を判断するにあたっては、当時の会社の状況及び会社を取り巻く情勢を前提として、取締役の判断に許容された裁量の範囲を超えた善管注意義務違反があるか否か、すなわち、当該契約の締結が必要であるという取締役の判断が著しく合理性を欠くものであったか否か、報酬の支払が著しく不相当なものであったか否かという観点から検討がされるべきである」とした上で、「・・・契約の各締結及び報酬の各支払が、被告の裁量の範囲を超え、善管注意義務に違反するものであると認めることはできないが、本件各調査契約については、それが原告にとって必要な契約であると認めることはできず、その契約の締結及び報酬の支払が善管注意義務に違反するものであるというほかない」と判示した。

(判例タイムズ1239号309頁)