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2006年08月31日

メディカルビル入居勧誘事件

 「本件メディカルビルは、その性質上、他科医療機関が入居することが前提となっていること、原告は、本件メディカルビルに入居するか否かの意思決定をするにあたっては、本件メディカルビルに他科医療機関が入居することを重要な要素としていたことが認められる。そうすると、Aは、原告が本件メディカルビルへの入居の意思決定をするにあたり、重要な情報について、虚偽の情報提供をするなどして、原告の自由な意思決定を妨げたといえる。以上からすれば、Aを担当していた被告は、契約当事者として、原告が契約締結するか否かを決定するにあたり、重要な情報について、正確に説明する義務を怠ったというべきであり、信義誠実の原則に著しく違反していることから、いわゆる契約締結上の故意又は過失により、不法行為責任を負うというべきである。」「被告は、原告の受けた前記(1)の損害について賠償すべきものといえるが、被告の負担すべき損害賠償額を算定するにあたっては、原告が最終的には自己の判断で旧賃貸借契約の解決及び本件内装工事の発注を行ったとみることができる点を斟酌すべきであり、前記(1)の損害について5割を減ずるべきである。」
(判例タイムズ1213号205頁)