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2006年03月07日

社会保険庁職員過労死事件

 社会保険庁の職員が自殺した事件につき、裁判所は、「課長は、通常の注意をもってすれば、電話相談係における被災者の超過勤務、担当業務及び職場環境の実態を正確に認識することができ、直ちにこれに対する具体的措置を講ずべきことが可能であった。・・・悪化しつつあった被災者のうつ病に配慮することなく、さらに過重な業務を強いられる人事係への配属換えをしたものと認められる」「被災者に心身の健康相談を実施して休暇と取らせたり、異動についての希望聴取を行い、心身の状態に適した配属先への異動を行うなどの対応を採るこてゃ容易であったといえるし、そのような対応を採っていれば、これにより被災者のうつ病の重症化とこれに基づく自殺という結果の発生を避けることは可能であった」と認定し、遺族らの請求を認めたものである。
過労自殺に関する使用者の安全配慮義務に関する一事例である。
(判例時報1915号108頁)