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2006年01月13日

小学校記念文集編集著作物事件

小学校記念文集からの引用が問題となった事件であるが、東京地裁は、「編集著作物の著作者の権利が及ぶのは、あくまで編集著作物として利用された場合に限るのであって、編集物の部分を構成する著作物が個別的に利用されたにすぎない場合には、編集著作物の著作者の権利はこれに及ばないと解すべきである」「編集著作物はその素材の選択又は配列の創作性ゆえに著作物と認められるものであり、その著作権は著作物を一定のまとまりとして利用する場合に機能する権利にすぎず、個々の著作物の利用について問題が生じた場合には、個々の著作物の権利者が権利行使をすれば足りる」「編集物の一部分を構成する個々の著作物の利用に際しても編集著作物の著作者の権利行使を許したのでは、個々の著作物の著作者の権利を制限することにもなりかねず、著作権法12条2項の趣旨に反することになる」と判示した。著作権法の解釈としては、妥当であろう。
(判例時報1910号137頁)