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2011年03月15日

罹災都市借地借家臨時処理法

被災者の方々には、心よりお見舞い申し上げます。

阪神大震災の時には、バスや船などに乗って遠隔地の法律相談に向い、下記法律を踏まえ、様々なアドバイスを行い、また、法律問題の解決をしておりました。

法律家として、何かお力になれることがあればと願っております。

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罹災都市借地借家臨時処理法
(昭和二十一年八月二十七日法律第十三号)

最終改正:平成一六年一二月一日法律第一四七号


第一条  この法律において、罹災建物とは、空襲その他今次の戦争に因る災害のため滅失した建物をいひ、疎開建物とは、今次の戦争に際し防空上の必要により除却された建物をいひ、借地権とは、建物の所有を目的とする地上権及び賃借権をいひ、借地とは、借地権の設定された土地をいひ、借家とは、賃借された建物をいふ。

第二条  罹災建物が滅失した当時におけるその建物の借主は、その建物の敷地又はその換地に借地権の存しない場合には、その土地の所有者に対し、この法律施行の日から二箇年以内に建物所有の目的で賃借の申出をすることによつて、他の者に優先して、相当な借地条件で、その土地を賃借することができる。但し、その土地を、権原により現に建物所有の目的で使用する者があるとき、又は他の法令により、その土地に建物を築造するについて許可を必要とする場合に、その許可がないときは、その申出をすることができない。
2  土地所有者は、前項の申出を受けた日から三週間以内に、拒絶の意思を表示しないときは、その期間満了の時、その申出を承諾したものとみなす。
○3  土地所有者は、建物所有の目的で自ら使用することを必要とする場合その他正当な事由があるのでなければ、第一項の申出を拒絶することができない。
○4  第三者に対抗することのできない借地権及び臨時設備その他一時使用のために設定されたことの明かな借地権は、第一項の規定の適用については、これを借地権でないものとみなす。

第三条  前条第一項の借主は、罹災建物の敷地又はその換地に借地権の存する場合には、その借地権者(借地権者が更に借地権を設定した場合には、その借地権の設定を受けた者)に対し、同項の期間内にその者の有する借地権の譲渡の申出をすることによつて、他の者に優先して、相当な対価で、その借地権の譲渡を受けることができる。この場合には、前条第一項但書及び第二項乃至第四項の規定を準用する。

第四条  前条の規定により賃借権が譲渡された場合には、その譲渡について、賃貸人の承諾があつたものとみなす。この場合には、譲受人は、譲渡を受けたことを、直ちに賃貸人に通知しなければならない。

第五条  第二条の規定により設定された賃借権の存続期間は、借地借家法 (平成三年法律第九十号)第三条 の規定にかかわらず、十年とする。ただし、建物が、この期間満了前に朽廃したときは、賃借権は、これによつて消滅する。
○2  当事者は、前項の規定にかかはらず、その合意により、別段の定をすることができる。但し、存続期間を十年未満とする借地条件は、これを定めないものとみなす。

第六条  第二条の規定による賃借権の設定又は第三条の規定による借地権の譲渡があつた場合において、その土地を、権原により現に耕作の目的で使用する者(第二十九条第一項本文又は第三項の規定により使用する者を除く。)があるときは、その者は、賃借権の設定又は借地権の譲渡があつた後(その賃借権の設定又は借地権の譲渡について、裁判があつたときは、その裁判が確定した後、調停があつたときは、その調停が成立した後)、六箇月間に限り、その土地の使用を続けることができる。但し、裁判所は、申立により、その期間を短縮し、又は伸長することができる。
○2  第二条の規定により設定された賃借権又は第三条の規定により譲渡された借地権の存続期間は、前項又は第二十九条第一項本文若しくは第三項の規定による土地の使用の続く間、その進行を停止する。この場合には、その停止期間中、借地権者は、その権利を行使することができず、又、地代又は借賃の支払義務は、発生しない。
○3  第一項の規定により土地を使用する者が、自ら、第二条の規定による賃借権の設定又は第三条の規定による借地権の譲渡を受けた場合には、前二項の規定を適用しない。

第七条  第二条第一項の借主が、同条の規定による賃借権の設定又は第三条の規定による借地権の譲渡を受けた後(その賃借権の設定又は借地権の譲渡について、裁判があつたときは、その裁判が確定した後、調停があつたときは、その調停が成立した後)、一箇年を経過しても、正当な事由がなくて、建物所有の目的でその土地の使用を始めなかつたときは、土地所有者又は借地権の譲渡人は、その賃借権の設定契約又は借地権の譲渡契約を解除することができる。但し、その解除前にその使用を始めたときは、この限りでない。
○2  第二条第一項の借主が、建物所有の目的でその土地の使用を始めた後、建物の完成前に、その使用を止めた場合にも、前項と同様である。
○3  前条第一項又は第二十九条第一項本文若しくは第三項の規定により土地を使用する者がある場合には、第一項の一箇年は、その使用の終つた時から、これを起算する。

第八条  第二条の規定による賃借権の設定又は第三条の規定による借地権の譲渡があつたときは、賃貸人又は借地権の譲渡人は、借賃の全額又は借地権の譲渡の対価について、借地権者がその土地に所有する建物の上に、先取特権を有する。
○2  前項の先取特権は、借賃については、その額及び、若し存続期間若しくは借賃の支払時期の定があるときはその旨、又は若し弁済期の来た借賃があるときはその旨、譲渡の対価については、その対価の弁済されない旨を登記することによつて、その効力を保存する。
○3  第一項の先取特権は、他の権利に対し、優先の効力を有する。但し、共益費用不動産保存不動産工事の先取特権並びに前項の登記前に登記した質権及び抵当権に後れる。

第九条  疎開建物が除却された当時におけるその敷地の借地権者、その当時借地権以外の権利に基いてその敷地にその建物を所有してゐた者及びその当時におけるその建物の借主については、前七条の規定を準用する。但し、公共団体が、疎開建物の敷地又はその換地を所有し、又は賃借してゐる場合は、この限りでない。

第十条  罹災建物が滅失し、又は疎開建物が除却された当時から、引き続き、その建物の敷地又はその換地に借地権を有する者は、その借地権の登記及びその土地にある建物の登記がなくても、これを以て、昭和二十一年七月一日から五箇年以内に、その土地について権利を取得した第三者に、対抗することができる。

第十一条  この法律施行の際現に罹災建物又は疎開建物の敷地にある借地権(臨時設備その他一時使用のために設定されたことの明かな借地権を除く。)の残存期間が、十年未満のときは、これを十年とする。この場合には、第五条第一項但書及び第二項の規定を準用する。

第十二条  土地所有者は、この法律施行の日から二箇年以内に、第十条に規定する借地権者(罹災建物が滅失し、又は疎開建物が除却された後、更に借地権を設定してゐる者を除く。)に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内に、借地権を存続させる意思があるかないかを申し出るやうに、催告することができる。若し、借地権者が、その期間内に、借地権を存続させる意思があることを申し出ないときは、その期間満了の時、借地権は、消滅する。但し、借地権者が更に借地権を設定してゐる場合には、各々の借地権は、すべての借地権者が、その申出をしないときに限り、消滅する。
○2  前項の催告は、土地所有者が、借地権者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法で、これをすることができる。
○3  前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法 の規定に従ひ、裁判所の掲示場に掲示し、且つ、その掲示のあつたことを、新聞紙に二回掲載して、これを行ふ。
○4  公示に関する手続は、借地の所在地の地方裁判所の管轄に属する。
○5  第二項の場合には、民法 (明治二十九年法律第八十九号)第九十八条第三項 及び第五項 の規定を準用する。

第十三条  借地権者が更に借地権を設定してゐる場合に、その借地権を設定してゐる者については、前条の規定を準用する。

第十四条  罹災建物が滅失し、又は疎開建物が除却された当時におけるその建物の借主は、その建物の敷地又はその換地に、その建物が滅失し、又は除却された後、その借主以外の者により、最初に築造された建物について、その完成前賃借の申出をすることによつて、他の者に優先して、相当な借家条件で、その建物を賃借することができる。但し、その借主が、罹災建物が滅失し、又は疎開建物が除却された後、その借主以外の者により、その敷地に建物が築造された場合におけるその建物の最後の借主でないときは、その敷地の換地に築造された建物については、この申出をすることができない。
○2  前項の場合には、第二条第二項及び第三項の規定を準用する。

第十五条  第二条(第九条及び第三十二条第一項において準用する場合を含む。)若しくは前条の規定による賃借権の設定又は第三条(第九条及び第三十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定による借地権の譲渡に関する法律関係について、当事者間に、争があり、又は協議が調はないときは、申立により、裁判所は、鑑定委員会の意見を聴き、従前の賃貸借の条件、土地又は建物の状況その他一切の事情を斟酌して、これを定めることができる。

第十六条  第二条(第九条及び第三十二条第一項において準用する場合を含む。)若しくは第十四条の規定による賃借の申出又は第三条(第九条及び第三十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定による借地権の譲渡の申出をした者が数人ある場合に、賃借しようとする土地若しくは建物又は譲渡を受けようとする借地権の目的である土地の割当について、当事者間に協議が調はないときは、裁判所は、申立により、土地又は建物の状況、借主又は譲受人の職業その他一切の事情を斟酌して、その割当をすることができる。
○2  裁判所は、当事者間の衡平を維持するため必要があると認めるときは、割当を受けない者又は著しく不利益な割当を受けた者のために、著しく利益な割当を受けた者に対し、相当な出捐を命ずることができる。

第十七条  地代、借賃、敷金その他の借地借家の条件が著しく不当なときは、当事者の申立により、裁判所は、鑑定委員会の意見を聴き、借地借家関係を衡平にするために、その条件の変更を命ずることができる。この場合には、裁判所は、敷金その他の財産上の給付の返還を命じ、又はその給付を地代若しくは借賃の前払とみなし、その他相当な処分を命ずることができる。

第十八条  第六条第一項但書(第九条において準用する場合を含む。)又は第十五条乃至前条の規定による裁判は、借地又は借家の所在地を管轄する地方裁判所が、非訟事件手続法 により、これをする。

第十九条  鑑定委員会は、三人以上の委員を以て、これを組織する。
○2  鑑定委員は、裁判所が、各事件について、左の者の中からこれを指定する。
一  地方裁判所が、毎年予め、特別の知識経験のある者その他適当な者の中から選任した者
二  当事者が、合意で選定した者

第二十条  鑑定委員会の決議は、委員の過半数の意見による。

第二十一条  鑑定委員会の評議は、秘密とする。

第二十二条  鑑定委員には、旅費、日当及び止宿料を給する。その額は、最高裁判所がこれを定める。

第二十三条  第十五条乃至第十七条の規定による申立があつた場合には、民事調停法 (昭和二十六年法律第二百二十二号)第二十条 の規定を準用する。この場合に、調停に付する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

第二十四条  第六条第一項但書(第九条において準用する場合を含む。)又は第十五条乃至第十七条の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。その期間は、これを二週間とする。
○2  前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。

第二十五条  第十五条乃至第十七条の規定による裁判は、裁判上の和解と同一の効力を有する。

第二十五条の二  第二条乃至第八条、第十条乃至前条及び第三十五条の規定は、政令で定める火災、震災、風水害その他の災害のため滅失した建物がある場合にこれを準用する。この場合において、第二条第一項中「この法律施行の日」及び第十条中「昭和二十一年七月一日」を「第二十五条の二の政令施行の日」と第十一条中「この法律施行の際」を「第二十五条の二の政令施行の際」と、第十二条中「この法律施行の日」を「第二十五条の二の政令施行の日」と、読み替えるものとする。

   附 則


第二十六条  この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。

第二十七条  この法律(第二十五条の二の規定を除く。)を適用する地区は、法律でこれを定める。
○2  第二十五条の二の規定を適用する地区は、災害ごとに政令でこれを定める。

第二十八条  借地借家臨時処理法及び戦時罹災土地物件令は、これを廃止する。

第二十九条  罹災建物の敷地につきこの法律施行の際現に存する旧令第四条第一項の規定による賃借権は、建物の所有を目的とするものについてはこの法律施行の日から二箇年間、その他のものについてはこの法律施行の日から六箇月間に限り、なほ存続する。但し、その敷地につき、旧令第三条第一項の規定の適用を受ける借地権を有する者(旧令第四条第一項の規定による借地権に基いて、その敷地を他の者に使用させてゐる者を除く。)については、この限りでない。
○2  前項本文の賃借権は、その敷地を自ら使用する賃借人又は転借人が、その敷地の使用を止め、この法律施行の際におけるその敷地の使用の目的を変更し、又はあらたにその敷地につき使用若しくは収益を目的とする権利を取得したときは、同項の期間満了前でも、これに因つて消滅する。
○3  旧令第四条第四項の規定により、昭和二十一年七月一日前からこの法律施行の際まで、引き続き、罹災建物の敷地を現に使用する者がある場合には、同項に規定する土地所有者の権利については、前二項の規定を準用する。

第三十条  この法律施行の際現に存する旧令第三条第一項の規定の適用を受ける借地権の存続期間は、前条第一項本文又は第三項に規定する権利が存続している間、なほその進行を停止する。この場合には、旧令第三条第二項の規定は、この法律施行後(昭和二十年法律第四十四条号附則第二項の期間経過後を含む。以下同じ。)においても、なほその効力を有する。

第三十一条  第二十九条第一項本文又は第三項の規定に基いて存続する借地権は、第二条第一項(第三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第三条第一項(第三十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、これを借地権でないものとみなす。

第三十二条  第二十九条第一項本文又は第三項の規定に基いて、建物所有の目的で罹災建物の敷地又はその換地を自ら使用する者については、第二条乃至第五条、第七条第二項及び第八条の規定を準用する。
○2  前項に規定する者は、同項において準用する第二条第一項又は第三条第一項の規定による賃借権の設定又は借地権の譲渡の申出を拒絶されたときは、その申出を拒絶した者に対し、権原によりその土地に所有する建物を、相当な対価で買ひ取るべきことを請求することができる。

第三十三条  旧令第七条第一項の規定により設定された使用権でこの法律施行の際現に存するものは、この法律の日から五箇年間に限り、なほ存続する。この場合には、旧令第十三条、第十六条及び第十七条の規定は、この法律施行後においても、なほその効力を有する。
○2  地方長官は、旧令第十六条第一項各号の場合の外、使用権の設定された土地について、換地予定地の指定又は換地処分の告示があつた場合においても、その使用権を取り消すことができる。この場合には、旧令第十六条第二項の規定を準用する。

第三十四条  旧令第五条、第十五及び第十八条第二項の規定は、この法律施行後においても、なほその効力を有する。

第三十五条  第八条(第九条及び第三十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定により、また弁済期の来ない借賃につき先取特権に関する登記を受ける場合におけるその登記に係る登録免許税の課税標準は、登録免許税法第九条の規定にかかわらず、賃貸借の存続期間における借賃の全額から、既に弁済期の来た借賃の額を控除した金額とする。

   附 則 (昭和二二年九月一三日法律第一〇六号)


○1  この法律は、公布の日から、これを施行する。
○2  従前の規定によつて定められた地区は、これを第二十七条第一項の改正規定によつて定められたものとみなす。

   附 則 (昭和二六年六月九日法律第二二二号) 抄


(施行期日)
第一条  この法律は、昭和二十六年十月一日から施行する。

(従前の調停事件)
第十三条  この法律施行前に裁判所が受理した調停事件については、なお従前の例による。

   附 則 (昭和三一年五月二一日法律第一一〇号)


1  この法律は、公布の日から施行する。
2  改正前の罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二及び第二十七条第二項の規定に基く法律で定められた災害及び地区に関しては、なお従前の例による。

   附 則 (昭和三四年四月二〇日法律第一四八号) 抄


(施行期日)
1  この法律は、国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)の施行の日から施行する。
(公課の先取特権の順位の改正に関する経過措置)
7  第二章の規定による改正後の各法令(徴収金の先取特権の順位に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行後に国税徴収法第二条第十二号に規定する強制換価手続による配当手続が開始される場合について適用し、この法律の施行前に当該配当手続が開始されている場合における当該法令の規定に規定する徴収金の先取特権の順位については、なお従前の例による。

   附 則 (昭和四一年六月三〇日法律第九三号) 抄


(施行期日)
1  この法律は、昭和四十一年七月一日から施行する。ただし、第一条(借地法律第十二条の改正規定を除く。)並びに附則第二項、第三項及び第十項の規定は、この法律の公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置等)
6  この法律による改正後の規定は、各改正規定の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、改正前の規定により生じた効力を妨げない。

   附 則 (昭和四二年六月一二日法律第三六号) 抄


1  この法律は、登録免許税法の施行の日から施行する。

   附 則 (平成三年一〇月四日法律第九〇号) 抄


(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 (平成一六年一二月一日法律第一四七号) 抄


(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。