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2011年07月25日

情報漏洩に関する講演

いつも法科大学院の教壇に立っているのですが、それ以外にも、年に十数回、様々な場所で講演も行っています。先日も、約500名ほどの監査役の皆様を前に、「企業における情報漏洩リスクと実務対応」という講演を行ってきました。

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 我々法律家のパワーポイントの講演資料は、えてして判例や学説の説明など文字ばかりになってしまう傾向があるのですが、それをどれだけビジュアル的に表現できるのか、いつも資料作成において頭を悩ませているところです。

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 下の図は、RSA社の暗号の管理方法は、実際にオンラインを遮断し、何重もの鍵を掛けた金庫内に保管されていることを概念的に示しているものです。

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 また、講演資料に書いてあることを読み上げるだけでは面白くありませんし、講演者独自の解釈や考え方が示されないと、講演内容が平板なものになってしまい、どこか迫力に欠けたものになってしまいます。

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 今回は、特にソニーの情報漏洩事件に関して、刻一刻と新しい報道がなされるため、ニュースをフォローするだけでも大変でしたし、そのハッキングによる被害の重大性の把握やその解釈にも、ひと工夫要するところでした。

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 講演を行う場合には、実際の講演時間の10〜20倍もの時間をかけて周到な準備をして本番に臨んでいるのですが、当日の会場の雰囲気やいわゆる「噺の枕」のような導入部分での最近の話題でよいリズムに乗っていけるか、さらには「煮詰まった状態」になった時にさらっと気分転換のための雑談(経験談)を入れることができるかなど、臨機応変に対応していかなければならない部分が重要であり、とても難しいものです。
 でも、旬の素材を選りすぐって料理していく料理人のような楽しさもあり、また、「演じている」ような心地よさも感じますので、とてもやり甲斐を感じる仕事です。

 もし、私の講演に来られた方の中で、このブログの読者の方がいらっしゃいましたら、ひと声お掛けいただければ幸いです。

2011年07月19日

札幌出張(余市)

 この週末も、不動産調査の関係で北海道出張に行ってきました。北海道には台風はあまり来ず、また梅雨もないはずなのですが、2日間ともあいにくの雨でした。
 札幌市内での現地調査終了後、観光で余市まで足を伸ばしました。余市町は、北海道の西部、積丹半島の東の付け根に位置する町です。エゾバフンウニは、6月に解漁され、7月においしさのピークを迎えるのだそうですが、夏場は、わざわざ積丹半島にウニ丼を食べに来る観光客も多いそうです。
 そこのニッカウヰスキー余市蒸溜所を訪ねてきました。

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 創始者である竹鶴政孝は、ウイスキーの醸造法を学んだスコットランドの気候と似たこの地でウイスキーの製造を始めたということですが、大日本果汁株式会社から「日果」となり、やがて「ニッカウヰスキー」となったそうです。試飲コーナーで、店員に「なぜ、片仮名『ヰ』という字を用いるのですか」とお聞きしましたところ、「井戸の水を大切にするという想いを込めているのです」という答えがすぐに戻ってきて、とても清々しい気持ちになりました。
 写真に写っているお馴染みのデザインのおじさんは、何十種類ものモルトを味で峻別できたという King of Blenders だそうです。

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 ウイスキーの製造工程で熟成を要する酒類において、熟成中に水分やアルコール分が蒸発し、最終的な製造量が目減りすることを「天使の分け前(Angel's share)」と呼ばれているのですが、昭和15年10月発売の第1号ウイスキーでも、随分と量が減っていました。

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 その瓶を見つめながら、それだけ濃厚になって、味わい深くなっているのだろうなあと感じながら、ふと人生と似たところがあるのかも知れないと思った瞬間、思わず、頭の上に手をやって髪の毛を確認してしまいました。まだ、未熟成で、天使に分け前は与えていないようでした(笑)。

 お土産として、ここでしか手に入らない25年寝かされたニッカウヰスキーの原酒を買ってきました。何かのお祝いの時に自ら開けるか、あるいはどなたかにプレゼントしたいと思います。