« 2011年11月 | メイン | 2012年01月 »

2011年12月15日

野村徹監督と鳥谷選手

 日頃大変お世話になっている方にお誘いいただき、太閤園にて早稲田大学第16代野球部監督であった野村徹氏のご講演を聴く機会をいただきました。

111215toritanisenshu01.jpg


 初めてお会いした野村監督は、とても人当たりの良い紳士であり、大変魅力的な方でした。野村監督の立ち振る舞いを見て、周りを見渡す気配りの人なんだなあという印象も強く受けました。
 「技術論よりも、野球に対する考え方が大切」「細かなことよりも、昔、こういうことを言われたなあ。昔、こう感じたなあということが大切」「中心選手を叱っていかないとだめ」「自分のことはすべて自分でやるのが早稲田の伝統」「自分はもっと練習しないといけないと思うことが大切」というお話に、子を思う親の心境のような温かさと厳しさ、あるいは教育者としての情熱を感じ取ることができました。

111215toritanisenshu02.jpg


 そして、野村監督が育てたとも言える阪神タイガースの鳥谷敬選手にもご同行いただきました。予想していたよりも、すらっとして身長が高いなあという印象でした。野村監督は、鳥谷選手について、「鳥谷選手は、優秀だったかどうかわからないが、授業を絶対に休まず、先生方に好かれていた」「鳥谷選手は、大学3年、4年になって顔つきが変わってきた」「青木選手(ヤクルト)にとっても、鳥谷選手というよきライバルがいたのがよかったのではないか」というお話があり、同じく教鞭を執る身として、とても共感できる部分がありました。
 鳥谷選手の第1印象は、推薦第1号であったが、いつも眠たそうにしていて大丈夫かなあと思っていたそうですが、股関節が柔らかく、懐が深い感じだったそうです。そして、3年まではそれほどではなかったが、4年生の時に、鳥谷選手と和田選手(ソフトバンク)にプロの素質を感じたということでした。若い芽は大切に育てていかなければいけないということでしょうか、「大学というのは、能力の開くところ」というお話に、学生野球の神髄を見る思いがしました。

 また、監督の「プロは、盗む社会」「総合力が無ければ、必ず故障する」というお話には、プロ野球の厳しさを感じるとともに、鳥谷選手のグランドではあまり見せない笑顔やマイホームパパ振り、あるいは「結婚相手は高校時代のマネージャーだった」「好きな食べ物は、豚の生姜焼き」というプライベートなお話からは親近感を感じることもできました。

111215toritanisenshu03.jpg


 鳥谷選手は、会合に参加された方々のために、嫌な顔一つせず、1枚1枚丁寧にサインされていました。その姿を見て、朴訥とした真面目さと、1つのことに集中して取り組むプロの姿勢を垣間見た気がしました。また、「指を怪我し、そこを庇うべく誤魔化して打っていると、フォームを崩してしまう」「ゴールデングラブ賞は、記者による投票で決まるものであり、イメージが大切。そこで、イメージを作り上げていくこと、記憶に残るプレイをすることを意識している」というお話もとても印象的でした。

111215toritanisenshu04.jpg


 妻に急遽買ってきてもらった色紙に、鳥谷選手のサインをいただくことができました。最後に、阪神タイガースについて、「来年は勝てると思っている」という力強いお話もありましたので、来年は、是非優勝して欲しいと思います。
 このたびは、このような会合に参加させていただき、誠に有り難うございました。

2011年12月09日

江藤監督と伊藤隼太選手

 昨日、江藤省三氏(昭和41年ドラフト3位で巨人に入団し、その後選手やコーチとして活躍。現在、慶應義塾大学体育会硬式野球部監督)の講演に行ってきました。
 江藤監督は柔和なお人柄でしたが、「質とか言っている場合じゃあない。量で補うしかない」「2時間バットを振り続ければ、今まで味わったことのない達成感が感じられる」「enjoy baseballというキャッチフレーズがあるが、トップアスリートは、そのためにどれだけ練習しているのか」「さぼる、ふてくされるなどのことは、絶対に許さない」などのお話に、指導者としての厳しさと体育会の古き良き伝統を感じることができました。

111209keiou01.jpg

 江藤監督にお願いしたところ、「教えるは、学ぶの半ばたり」という色紙をいただくことができました。ラテン語で、"Docendo discimus."という格言もありますが、まさに至言です。「今の人は、言ったことは100%やってくれる。ただ、それから、先、アレンジすることが難しいようだ」 ただ、「自分で考えつかないようなアイデアを出してくることもある」のだそうです。
 「毎年、同じことを言っていないとダメ」「私がコツン、コツンとやり、ネジを締めていかないとだめ」という指導者としての苦労にも、共感する部分がありました。

111209keiou02.jpg

 そして、江藤監督のご講演の後、阪神タイガース2011年度ドラフト1位指名の伊藤隼太(いとう はやた)選手もご紹介いただきました。とても凛々しく、男前です。

111209keiou03.jpg

 早速、男前2人の写真を撮影させていただきました(笑)。伊藤選手は、178cm、84kgの体格ですが、167cm、74kgの私の方がやはり締まりがなく、膨張して見えます(残念)。伊藤選手から、写真撮影後、「座ったままで、大変失礼致しました」と声を掛けられ、礼儀正しさも1級品であると感じました。

111209keiou04.jpg

 伊藤選手は、大学4年の秋のリーグ戦の頃には、将来を見越して、プロで通用する練習をしていこうということで、江藤監督と相談しながら色々なことにも挑戦してきたと言います。そして、そのような地道な練習だけでなく、チームをまとめていく主将として、練習環境の整備、先輩後輩という上下関係、チームの意思統一など様々な苦労があったようですが、将来きっとその苦労、経験は生きるのだろうと思います。

 伊藤選手は、食事の手を休め、色紙とボールに丁寧なサインをしてくれました。一球入魂という言葉がありますが、色紙の1枚1枚に気持ちを乗せていっているように見えました。ただ、大勢の人からサインを頼まれていましたので、腱鞘炎にならないだろうかなあと少し心配になりましたが、、、

111209keiou05.jpg


111209keiou06.jpg

 今回の江藤監督のご講演も、伊藤選手のお話もとても興味深く、1つのことに、地道にコツコツと努力していくことの大切さを改めて教えてくれたような気がしました。久々のとても清々しい感動がありました。

 伊藤選手は、関西という慣れない土地で生活を始めることになりますし、取り巻きや関西マスコミの対応などに苦慮することも多々あるかと思いますが、自ら信ずる道をひたすら前向きに突き進んで行って欲しいと思います。これからは、阪神タイガースあるいは関西の宝となりますので、周りの人たちは絶対に若い芽を摘むことがないよう、温かく庇護して行って欲しいものです。

 とても楽しく、和気藹々とした会合で、大学野球やプロ野球の話で盛り上がり、久しぶりに心の底から笑った気がしました。このような機会を作って頂いた関係者の方々に心より感謝申し上げます。

111209keiou07.jpg
2011年12月05日

サイプレス訪問記

 ゴルファー垂涎の的である兵庫県丹波市のザ・サイプレスゴルフクラブに行ってきました。
 大阪からは中国自動車道を走り、吉川JCTから舞鶴若狭自動車道に、そして、春日ICから北近畿豊岡自動車道に入って氷上ICで降り、その後しばらく走るため、結構遠く感じましたが、渋滞にかからず、△△先生と談笑するうちに、約1時間半で到着しました。

 とある知人より、森の妖精がいるような雰囲気のゴルフ場と聞いていたのですが、まさにそのような静かな森の中にいる感じで、都会の喧噪とは全く無縁の世界が広がっていました。玄関付近やクラブハウスは、廣野ゴルフ倶楽部が明治・大正の古き良き日本を感じさせるのと対照的に、英国やカナダの古き良き時代を感じさせるような落ち着きのある佇まいでした。
 この何か始まるような予感は、かつてロペ倶楽部(栃木)の正門の松明が煌めくのを見たとき感じたのと同じような高揚感でした。

111205cypress01.jpg


 対面着座スタイルでのチェックインを終えた後、着替えて、クラブハウスを出ますと、正面にまばらな人影のゴルフ練習場が見えます。遠目で見た私は、嗚呼、芝生の状態が悪いなあというがっかりした第1印象を持ったのですが、、、

111205cypress02.jpg


 なんと、天然芝の上から直接打つことができる練習場だったのです。それが原因で、ターフがとれた部分が枯れているように見えていただけでした。このような天然芝の練習場は、見たり、話には聞いたことがあったのですが、実際にそこを利用するのは人生初経験でした。

111205cypress03.jpg


 フェアウェイと違って、特定の場所で何度もボールを打つことから、その1カ所の芝は相当傷みますので、毎日の大変な手入れが必要になるはずです。早速、天然芝の上からの練習を始めましたが、ダフッて芝を痛めてしまう罪悪感を感じつつも、プロゴルファーになったかのような優越感も味わうことができました。

 さて、いよいそOUT1番からのスタートです。奈良国際ゴルフ倶楽部のようにすべて歩きですので、カートに乗ることもなく、散歩をするように、本来のゴルフを楽しむことができます。私の最も好きなプレイ・スタイルです。
 また、キャディさんに聞くと、なんとこのコースでは、OBが無いというのです!これも、人生初経験で、持論として、「ゴルフにも、野球と同じようにファールがあれば、スコアがもっと良くなるのに」と思っている私には、ほんと夢のようなお話です。ショートホール以外、すべてのティーショットをドライバーでフルスイングしようと心に決めました。

111205cypress04.jpg


 ミドルホール、ロングホールでは、ヨーロッパの田園地帯で天を指すようにまっすぐに伸びている、あるいは西洋絵画によく描かれている背の高い糸杉(サイプレス、西洋檜)で綺麗にセパレートされた林間を思い切って打ち抜いていくことになります。

111205cypress05.jpg


 一見狭いように見えるのですが、白い、あの忌々しいOB杭は一切見当たらず、100ヤード、150ヤードなどを示す人工的なヤード杭なども一切ありません。当然、いつも情けない気分で登らされている特設ティーなどもありません。自然のあるがままの姿を楽しむ、そういうゴルフ本来の醍醐味を味わえるゴルフ場なのです。
 次の写真は、あるホールの150ヤード付近ですが、やはり無粋なヤード杭など一切ありません。ちょうど、○○先生に、「ほら、この林の剪定、手入れの素晴らしさを見てみ」とのご指導を受けているところです。

111205cypress06.jpg


 ショートホールでは、どちらがグリーンなんだろうと思うぐらい、ティーグランドのベント芝の手入れも行き届いています。このティーグランドの素晴らしさは、北海道クラシックGCを彷彿とさせます。

111205cypress07.jpg


 見る風景すべてが美しく、心が洗われるような感じで、「OBゾーンは、どこ?、グリーンエッジまで何ヤード?、バンカーを超えるのに何ヤード?、ピンまでどれくらい?、スコアはいくつ?」などと、普段自分が如何に、自然な感覚を押し殺し、人工物や数字などに振り回されていたのかと反省させられました。大自然に魅せられた私は、ゴルフをしに来たというよりは、秋のハイキングあるいは風景写真の撮影に来たという感じだったのですが、お陰で、数多く、林の中に打ち込む羽目となりました。

111205cypress08.jpg


 ただ、「キン・コン・カーン」といくら林の奥の方へ大きく打ち込んでも、ボールがすぐに見つかるのが、とても不思議でした。宮崎のフェニックスCCにて、フェアウェイ両側の松林に打ち込んで、ベアグランドから打つ時には大変な苦労をしましたが、ここサイプレスでは、心地よい森林浴を味わうことができました(笑)。森の妖精たちが助けてくれているのかも知れません。

 そして、糸杉やメタセコイアの林だけでなく、池やクリーク(小川)があり、またハクセキレイの尾羽を上下に振る綺麗な飛行姿を見ながら、大きな木々に包まれた自然を大いに満喫致しました。OBが無いということで、思い切って普段使わない高級なニューボールを使っていたのですが、なぜかボールが3つ大自然に召されてしまいました(笑)。
 ちなみに、この池の写真も、絵画に造形の深い○○先生の作品です!太平洋クラブ御殿場コースのいわゆる逆さ富士の写真には負けるかも知れませんが、ちゃんと雁行まで写っています!

111205cypress09.jpg


111205cypress10.jpg


 フラットなコースを歩いているためかほとんど疲れもなく、「えっ、もう最終ホール(18番)なの?」と思えるぐらい、あっと言う間のラウンドでした。この18番ホールでも、人工的な建物が見えてきて最終ホールとわかる風景ではなく、18番の最後の最後まで森に包まれた自然の中でゴルフを十分に堪能して下さいと言われているようなメッセージを感じました。

111205cypress11.jpg


 予約組数も、ロッカールームも、レストランも、お風呂も、絶対に大人数を詰め込まず、少数の方だけへ行き届いたホスピタリティを発揮するというポリシーが暗黙裏に示されているようであり、上質なサービスの神髄を見るような感じがしました。

 川奈ホテルゴルフコースが「海の雄」で、霞ヶ関CCが「陸の雄」だとすると、ザ・サイプレスは、まさに「森の雄」とも言えるゴルフコースで、私がこれまで行ったゴルフ場の中で、満足度では、間違いなく5本指に入るぐらい素晴らしいコースでした。大人の休暇として、あとからじわじわ沸いてくるような充実感、満足感は、日本1なのかも知れません。

 メンバーの□□先生、このたびは、お誘いいただきまして有り難うございました。また、来年宜しくお願い致します。