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2011年02月20日

ローマ出張

○月○日 ローマ

 「法による支配」というものを世界史上初めて作り上げたローマを訪れました。法律を学ぶ者にとって、ローマ法という言葉やその内容を知らない者はいないと言えるくらい重要な法分野です。
 まずは、観光で古代劇場跡であるコロッセオに行ってきました。絵葉書などの外観写真では、少し薄っぺらな印象を持っていたのですが、建物内部もかなりの部分が残っており、その立体的な構造が今でも当時の面影を残っていることにびっくりしました。映画「グラディエーター」では、地下から虎が登場する仕掛けのシーンがあるのですが、実際にも、地下舞台装置を作るに十分な深さの空間が存在していました。
 観客席の正面奥左側の白い座席には、政府要人や裁判官の特別席があったのですが、当時の裁判官は、目の前で人殺しが行われる出し物を見て、果たしてどういう感じ方をしていたのか、沸々と疑問が沸いてきました。奴隷は人間ではないから、殺し合いさせても構わないと頭の中だけの冷めた理屈で考えていたのか、少しは人や動物が目の前で殺される姿を見て可哀想だと思ったのか、時代とともに価値観が変わるとは言え、人としての自然な情は果たして存在したのかと、疑念を抱かざるを得ませんでした。過去の残虐な歴史を経て、近代市民革命を達成し、人としての自由と独立、基本的人権を確立した法思想は、永遠に守っていかなければならないと強く感じました。

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 その後サンピエトロ教会に行ってきました。世界一の大きさを誇る大聖堂は、信者でなくても、ここ(バチカン)に来られたことを感激するような美しさと荘厳さがありました。精神世界の中心とも言える場所であり、物理的にも、精神的にも、国境のない場所であり、バチカン市国の成立の歴史を知るにつけ、素晴らしい聖地であると感じました。人権や平和を守るために、法が極めて重要な制度であることは言うまでもありませんが、まずは世界中の人々の平和を願う心というものが最も大切ではないかとあらためて感じました。

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 その後、予定通り、イタリアの最高裁判所を訪問しました。あいにく内部の写真は撮ることができませんでしたが、最高裁の建物もとても立派で、テヴェレ川に架かる橋の正面に位置しており、威厳と風格を感じさせるものでした。数々の大理石の彫刻が並べられているのも、まさにローマといった感じでした。
 それに対して日本の最高裁の建物は、なぜあんなに無機質で、人を寄せ付けない雰囲気の要塞みたいな建物にしたのだろうと、ふと疑問に感じました。

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