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2011年02月25日

水の都ヴェネチア

○月○日 ヴェネチア

 シェークスピア作「ベニスの商人」にて、果たして公正な裁判とはどういうものだろうかと考えさせられたことがある、水の都ヴェネチア(ベニス)に行ってきました。かつて攻め込まれ、敵から逃れるためラグーン(葦原)に移り住んだという話は本で読んだことがありましたが、まさに水の上に浮かぶ街といった感じでした。

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 少し靄のかかった朝、宿泊先のホテルから海上タクシーに乗り、サン・マルコ寺院を訪れました。イタリアのどの都市国家にも町の守護聖人という人がいるそうですが、この町では、アレキサンドリアからイスラム教の禁忌である豚肉に包んで敵の目を忍んで運び込まれたという聖サン・マルコを祀っています。黄金に輝くモザイク画が当時の栄華を後世に伝えているようであり、その壮大さに、西洋におけるキリスト教の影響力の強さを感じました。

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 その後、ドゥカーレ宮殿を訪れました。共和国提督の邸宅として使われていたそうですが、評議場などがありました。その大評議室は25メートルプールが優に入る広さで天井も高いものでしたが、その壁に描かれたティントレット作「天国の図」は世界最大の油絵だそうで、画材に鉛を使っていた関係で少し黒ずんでいましたが、とても迫力がありました。

 また、裁判所も同じ建物内部にあったそうです。その裁判所の壁の右から4つ目の区切り部分が隠扉となっており、その奥で拷問が行われていたという話を聞いて、目をつぶって間違った裁判を行い、冤罪も生み出していたのであろうことを思うと、少し暗澹たる思いがしました。
 その拷問を用いた裁判が行われていた裁判所から監獄に繋がる橋が有名な「ため息橋」(Ponte dei Sospiri)です。

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 訪れた時は、残念ながら、両側の壁の補修中で、外観のほんの一部しか見ることができませんでした。

 ただ、牢獄に通じる狭い通路を歩いている時には、無実の者の声が聞こえるようであり、少し肌寒い感じがしました。

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 現代の刑事裁判においては、絶対に拷問などを行ってはならず、また無辜の処罰も絶対に行われてはならないと強く感じました。